砂浜に描いたうたかたの夢
柔らかい声色から一変、私を押しのけて冷凍庫を開けると、血眼になって確認し始めた。

いくら好物だからって、全部食べるわけないでしょう。



「バニラが1本減ってる! お風呂入る前はあったのに! お母さん食べた?」

「ううん。お姉ちゃんがこっそり食べてた」

「ええっ⁉」



母の返答に大声を上げた楓。

丸く開かれたその目は、2本目を食べようとしてたのか⁉ という衝撃に満ちている。



「このアイス泥棒め! 食いすぎの罪で逮捕する!」

「うるさいなぁ。そっちだって毎日食べてるでしょ」

「そうだけど、俺は1日1個しか食ってない! 対して姉ちゃんは、季節問わず、見つけたらすぐ食っている!」



ビシッと指を差して、「その数、1週間で平均12個!」と言い放った。

逐一数えてたのかよ……。



「これだけじゃないぞ! 他にも、プリンやゼリーまで! そんなんだから、お腹プヨンプヨンに……」



言い終わる前にギロッと睨みつけた。

さっきから聞いてりゃあ、食い尽くしてだの、泥棒だの、失礼極まりない言葉を連発しやがって……。
< 3 / 322 >

この作品をシェア

pagetop