砂浜に描いたうたかたの夢
お互いの小指を絡ませて、来世での再会と約束を交わす。

といっても、来世があるのかは分からないし、もしあったとしても、また人間に生まれ変われるかどうかも分からない。



「凪くん、デートする時は、お金忘れずに持ってきてね!」

「ふはっ、了解です」



それでも……不思議と凪くんとは、また必ず会えるような気がするんだ。

今度は衝動買いしないで計画的に使うんだよ。次会うまでに、お金のこと勉強して、ちゃんと管理ができる人になってね。



「一花、そろそろ」



彼に期限付きの宿題を出したところで、後ろの襖が開き、父が顔を覗かせた。

……もうこの辺で、お別れみたい。



「そうだ。お願いがあるんだけど、描きかけの絵、一花が完成させてくれない?」



再び優しい命令を使って、凪くんは私が立ち上がるのを阻止してきた。



「それ……生前描いてた絵のこと?」

「うん。下描きの状態だからさ。一花にしか頼めないんだ」

「……分かった」
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