砂浜に描いたうたかたの夢
ポタッと一滴、スカートの上に涙が落ちて、小さなシミができた。
「っ……うぅっ……」
あーあ、今日は家に帰るまで、綺麗な顔でいようって決めたのに。
最後の最後まで、結局女心が分からなかったね。
こんな嬉しくて切なすぎる仕打ち、あんまりだよ……っ。
思い出が詰まった海岸の絵を胸に抱えて、お姉さんに背中を擦られながら嗚咽を漏らした。
◇
法事が終わり、浅浜家に別れを告げた私は、父の車に乗って帰路に就く。
「一花、今の学校、楽しいか?」
前方の信号が赤に変わり、速度が落ちたタイミングで、隣から唐突に問いかけられた。
「今の学校が辛いなら、転校してもいいんだぞ?」
「いやいや! そこまで悩んでないから!」
神妙な面持ちで横を向いた父にブンブンと手を横に振る。
毎日宿題だらけで嫌になる時もあるけど、逃げ出したいと思ったことはない。クラスメイトも先生達も、みんな優しくて思いやりのある人ばかりだから。
せっかく勉強頑張って入ったんだもん、よっぽどのことがない限りは投げ出さないよ。
「っ……うぅっ……」
あーあ、今日は家に帰るまで、綺麗な顔でいようって決めたのに。
最後の最後まで、結局女心が分からなかったね。
こんな嬉しくて切なすぎる仕打ち、あんまりだよ……っ。
思い出が詰まった海岸の絵を胸に抱えて、お姉さんに背中を擦られながら嗚咽を漏らした。
◇
法事が終わり、浅浜家に別れを告げた私は、父の車に乗って帰路に就く。
「一花、今の学校、楽しいか?」
前方の信号が赤に変わり、速度が落ちたタイミングで、隣から唐突に問いかけられた。
「今の学校が辛いなら、転校してもいいんだぞ?」
「いやいや! そこまで悩んでないから!」
神妙な面持ちで横を向いた父にブンブンと手を横に振る。
毎日宿題だらけで嫌になる時もあるけど、逃げ出したいと思ったことはない。クラスメイトも先生達も、みんな優しくて思いやりのある人ばかりだから。
せっかく勉強頑張って入ったんだもん、よっぽどのことがない限りは投げ出さないよ。