砂浜に描いたうたかたの夢
なるほど。そのせいで一時期姿を消してたのか。どんな風に鳴いてたんだろう。

ネットで動画を探せばいいけど、ここ、Wi-Fi飛んでないんだよね。通信制限かかったら親に怒られちゃう。

まぁ、動画を観る暇もないくらい忙しいから、そこまで困ってはないんだけど。



「じいちゃん、一花、ジョニー、お待たせ〜」



玄関の扉が開いて智が出てきた。



「もう! 遅いよ!」

「ごめん。ひいばあちゃんの話に付き合ってて、気づいたらこんな時間に……」



手を合わせて必死に謝る智。

ひいおばあちゃんを言い訳に使うな!
って言ってやりたかったけど……今回はガチの謝罪っぽいから許しますか。


全員揃ったところで早速出発。
今日は海には行かず、住宅街を回るとのこと。

もしかしてスピッツを探しに行くのかな? なんて考えながら、日が昇って少し明るくなった曇り空の下を歩く。



「一花、もう海の写真は撮らねーの?」

「うん。昨日で全部撮ったし」



隣を歩く智に短く返答した。

夜の海、朝の海、昼の海。そして昨日、散歩の途中で夕方の海を写真に残した。
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