砂浜に描いたうたかたの夢
祖父母の部屋を後にし、廊下を歩いて台所へ。

帰省の記念に祖母が買ってくれたソーダ味の棒アイスを取り出し、封を開けてかぶりついた。


ん〜! この爽快感のある味! 氷のひんやり感! 勉強終わりの疲れた体に効く〜!



「ジョニー、行くよ、それっ!」

「おおーっ! ナイスキャッチ!」



台所で1人むさぼり食っていると、隣の部屋から祖父と智のはしゃぐ声が聞こえてきた。

やけに静かだなと思ったら。別室で遊んでたのか。少し休憩したら私も参加しようかな。


アイスを持ったまま、襖を開けて居間に移動した。

冷房は稼働しているけれど、祖母と伯母は買い物に行っているため誰もいない。つまり、今この空間は私だけのもの。



「ひゃっほー!」



ごろんと畳の上に寝転がる。


涼しい部屋で、誰にも邪魔されず、ゴロゴロしながら大好物を食べる。最高に幸せだ……。


近くにあった扇風機をつけようとしたその時、障子に人影がぬっと現れた。



「あら、どうも」

「っ……!」
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