砂浜に描いたうたかたの夢
そう返されて、すんなり納得する。

関わりが少なかったのなら、そりゃ記憶に薄いか。
私も9年ぶりに会ったし、今日まで年齢知らなかったもんな。



「でも、こないだ誕生日プレゼントはあげたよ」

「何あげたの?」

「バナナ。元はお土産として渡すつもりだったんだけど、誕生日を迎えてたって聞いて。その場でリボンの絵を描いて贈った」

「その場で⁉ すごいね!」



バナナを使った即席のプレゼントをあげたという凪くん。

絵が得意な彼だからこそ作ることができた、オシャレなプレゼント。

バナナアートは難しそうだけど、絵を贈るのはいいかもしれない。



「まぁ、部屋を飾りつけるとかの大々的なことはしなくても、好きな食べ物を贈るとか、心がこもっていれば大丈夫だと思うよ」



思考を止めて凪くんと顔を合わせる。

お茶目さが消えた優しい笑顔。
それはまるで、私の心を読み取ったかのようだった。



「……ありがとう。好きな物、探ってみる!」

「良かった。報告待ってるね」

「了解ですっ!」



右手を上げて敬礼ポーズ。
明日も同じ時間に会う約束をして帰路に就いた。
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