拝啓 夏霞に迷い込んだ君へ
8月2日
今日も昨日と同じく、眩しい太陽がジリジリと照りつける
キラの祖母の家は木製の味のある家で、この町ではトップクラスに大きい家だ 家の周りは大きな塀で囲まれており、前玄関の上には紋章が大々的に飾られている
キラの部屋は玄関からまっすぐ行った奥の部屋にあり、その部屋の大きさは大体十畳くらいだ
窓からは自然豊かな緑が見え、向かいの山が見える
日当たりは特別良いわけではないので日中は涼しい風が部屋を抜けていく
キラは部屋で親に渡す手紙を書いていた
田舎というだけあって、大体どこに行っても圏外唯一の娯楽といえば近所のおじさんたちと将棋などしかない
キラにはとても退屈だった
「よし、」
手紙も書けたしポストに入れにいくか
するとその時
「きらや ちょっと来ておくれ」
祖母の声だ、幼い頃からよく世話をしてくれた祖母は今年で80歳だそろそろ体が動かなくなりお手伝いさんを雇いはじめた
「まっておばあちゃん 今行くよー」
キラは東京から持ってきた小さなバックに2人の両親への手紙を突っ込むと扉を勢いよく開けて祖母の元へ走った
祖母の部屋はキラの部屋の4つ隣で、基本的に布団に入ることが多くなった
お手伝いさんを呼ぶときはお得意の大きな声で明子(あきこ)さん!とお手伝いさんの名前を呼ぶ
「なぁに?おばぁちゃん!」
「これっ 廊下を走るなと言っておるじゃろ
もし怪我でもしたら当家の恥じゃぞ」
「えへへ、気をつけます、」
「今からこの家へ手紙を渡してきておくれ」
「え?おばあちゃん、僕最近こっちに戻ったからあんまり道覚えてないよぉ」
「6年前じゃろとっとと思い出しぃ!早いかんか」
「えぇー、うぅ、行ってきまぁす」
祖母は周りから見るととても厳しいというイメージがあるだがこれも仕方がなく、祖母が亡くなった後この家と当家を引き継ぐのは僕になってる僕は東京にこそ住んでいるものの
それは僕の母親のわがままであり、祖母が亡くなれば僕はすぐにでも当家を継ぐという契約の元東京で暮らしている
祖母が僕に厳しくするのも母親の恨み、などではなく、自分の死期が近いことを悟り、少しでも僕を一人前にするためであった
だとしても家もわからないのにおつかいは厳しすぎる、
どうしたものかと悩んでいると
「坊ちゃん、」
僕はその声に聞き覚えがあった
「明子さん! どうしましたか?」
この人は明子さん、この家のお手伝いさんだ
年齢は僕の母親と同じくらいだろうか、真っ黒な黒髪で上の方で結んだ髪で骨格がよく見える
昔は相当モテていただろうなと思わせるくらい綺麗な顔立ちをしているまぁ、シワなどを除けば、ね、
「奥様がおっしゃっていたお家の行き方をこちらに書かせていただきました、これを見ればすぐにわかるかと、」
そこには祖母に頼まれた家らしき住所とこの家からの行き方が詳しく書かれている
「ありがとうございます!これですぐに行けます!」
「いえ、坊ちゃんのお役に立てて何よりです」
「では僕はそろそろ行ってきますもう昼も過ぎましたし」
「はい お気をつけて、いってらっしゃいませ」
「行ってきます!」
僕は明子さんに背を向けると玄関へ小走りで駆け出した
玄関のスライド扉を開けると、真夏の強烈な光がキラを照らす
「まぶし、」
キラは玄関を真っ直ぐ歩き家の門を抜けるとまずはポストに向かって走り出した
木々の間を抜ける風が気持ちよく車も少ない通りなので新鮮な空気が鼻に通る
東京では絶対にないな
なんて思いながら歩いているといつの間にか木々の間に赤い小さなポストが見えてきた
キラは持っていたカバンから両親への手紙を取り出すとポストへ投函した
ポストを通り過ぎ真っ直ぐ行くと祖母に頼まれた家へ着く、そこに行くには昨日の無人駅の前を通る必要があった
「あの子、来てたりするかな」
少しの期待を胸に無人になった駅をぐるりと一周する
どうやら今日は居ないようだ
「居ない、のか、」
そうしょんぼりしていると
「誰が居ないんだ?坊主」
「うぉわ!?」
びっくりしたっていうか、なんかデジャブ、
「えっとあなたは、」
「わしは神木(かみき)この辺りの子供からかみじじって呼ばれとるこの近くで神社の神主をしておる」
「あ。こんにちは、僕はキラです中村綺羅 最近こっちに来ました」
「ん?中村、あー!!!!中村のばぁさんの孫さんか!?」
「えっと、祖母の事ですかね」
「なるほど、道理で見ない顔なわけじゃ、そうだ!中村のばぁさんから手紙を預かってないかね?」
「えっと手紙、あっ、もしかしてこれですか?」
僕はおばあちゃんから貰った手紙をかみじじに渡した
「そうそう!これじゃこれじゃ いやぁ助かったよ ばぁさんにありがとなって伝えといてくれ、それじゃな」
そう言うとおじいさんは僕に背を向けて神社の方へと歩き出した
かみじじの小さくなる背中を見つめながら僕は
「帰らなきゃ」
今日も昨日と同じく、眩しい太陽がジリジリと照りつける
キラの祖母の家は木製の味のある家で、この町ではトップクラスに大きい家だ 家の周りは大きな塀で囲まれており、前玄関の上には紋章が大々的に飾られている
キラの部屋は玄関からまっすぐ行った奥の部屋にあり、その部屋の大きさは大体十畳くらいだ
窓からは自然豊かな緑が見え、向かいの山が見える
日当たりは特別良いわけではないので日中は涼しい風が部屋を抜けていく
キラは部屋で親に渡す手紙を書いていた
田舎というだけあって、大体どこに行っても圏外唯一の娯楽といえば近所のおじさんたちと将棋などしかない
キラにはとても退屈だった
「よし、」
手紙も書けたしポストに入れにいくか
するとその時
「きらや ちょっと来ておくれ」
祖母の声だ、幼い頃からよく世話をしてくれた祖母は今年で80歳だそろそろ体が動かなくなりお手伝いさんを雇いはじめた
「まっておばあちゃん 今行くよー」
キラは東京から持ってきた小さなバックに2人の両親への手紙を突っ込むと扉を勢いよく開けて祖母の元へ走った
祖母の部屋はキラの部屋の4つ隣で、基本的に布団に入ることが多くなった
お手伝いさんを呼ぶときはお得意の大きな声で明子(あきこ)さん!とお手伝いさんの名前を呼ぶ
「なぁに?おばぁちゃん!」
「これっ 廊下を走るなと言っておるじゃろ
もし怪我でもしたら当家の恥じゃぞ」
「えへへ、気をつけます、」
「今からこの家へ手紙を渡してきておくれ」
「え?おばあちゃん、僕最近こっちに戻ったからあんまり道覚えてないよぉ」
「6年前じゃろとっとと思い出しぃ!早いかんか」
「えぇー、うぅ、行ってきまぁす」
祖母は周りから見るととても厳しいというイメージがあるだがこれも仕方がなく、祖母が亡くなった後この家と当家を引き継ぐのは僕になってる僕は東京にこそ住んでいるものの
それは僕の母親のわがままであり、祖母が亡くなれば僕はすぐにでも当家を継ぐという契約の元東京で暮らしている
祖母が僕に厳しくするのも母親の恨み、などではなく、自分の死期が近いことを悟り、少しでも僕を一人前にするためであった
だとしても家もわからないのにおつかいは厳しすぎる、
どうしたものかと悩んでいると
「坊ちゃん、」
僕はその声に聞き覚えがあった
「明子さん! どうしましたか?」
この人は明子さん、この家のお手伝いさんだ
年齢は僕の母親と同じくらいだろうか、真っ黒な黒髪で上の方で結んだ髪で骨格がよく見える
昔は相当モテていただろうなと思わせるくらい綺麗な顔立ちをしているまぁ、シワなどを除けば、ね、
「奥様がおっしゃっていたお家の行き方をこちらに書かせていただきました、これを見ればすぐにわかるかと、」
そこには祖母に頼まれた家らしき住所とこの家からの行き方が詳しく書かれている
「ありがとうございます!これですぐに行けます!」
「いえ、坊ちゃんのお役に立てて何よりです」
「では僕はそろそろ行ってきますもう昼も過ぎましたし」
「はい お気をつけて、いってらっしゃいませ」
「行ってきます!」
僕は明子さんに背を向けると玄関へ小走りで駆け出した
玄関のスライド扉を開けると、真夏の強烈な光がキラを照らす
「まぶし、」
キラは玄関を真っ直ぐ歩き家の門を抜けるとまずはポストに向かって走り出した
木々の間を抜ける風が気持ちよく車も少ない通りなので新鮮な空気が鼻に通る
東京では絶対にないな
なんて思いながら歩いているといつの間にか木々の間に赤い小さなポストが見えてきた
キラは持っていたカバンから両親への手紙を取り出すとポストへ投函した
ポストを通り過ぎ真っ直ぐ行くと祖母に頼まれた家へ着く、そこに行くには昨日の無人駅の前を通る必要があった
「あの子、来てたりするかな」
少しの期待を胸に無人になった駅をぐるりと一周する
どうやら今日は居ないようだ
「居ない、のか、」
そうしょんぼりしていると
「誰が居ないんだ?坊主」
「うぉわ!?」
びっくりしたっていうか、なんかデジャブ、
「えっとあなたは、」
「わしは神木(かみき)この辺りの子供からかみじじって呼ばれとるこの近くで神社の神主をしておる」
「あ。こんにちは、僕はキラです中村綺羅 最近こっちに来ました」
「ん?中村、あー!!!!中村のばぁさんの孫さんか!?」
「えっと、祖母の事ですかね」
「なるほど、道理で見ない顔なわけじゃ、そうだ!中村のばぁさんから手紙を預かってないかね?」
「えっと手紙、あっ、もしかしてこれですか?」
僕はおばあちゃんから貰った手紙をかみじじに渡した
「そうそう!これじゃこれじゃ いやぁ助かったよ ばぁさんにありがとなって伝えといてくれ、それじゃな」
そう言うとおじいさんは僕に背を向けて神社の方へと歩き出した
かみじじの小さくなる背中を見つめながら僕は
「帰らなきゃ」