【辛口ホームドラマ】かもいけ海岸
第1話
時は、2018年6月25日頃であった。
場所は、今治市小浦町にあるいまぞう(今治造船)の本社オフィスにて…
時は、正午前であった。
営業部の10課長の舟入和樹(ふないりかずき・36歳)は、ずる休みした従業員さんが残した仕事を片付けに追われていた。
和樹がいる部署は、産休育休取得した女性従業員さん3人と新婚旅行中の従業員さん5人が不在である。
その上に、数人の従業員さんが会社にウソの理由を作ってずる休みをしていたので、極度の人員不足におちいった。
和樹がイラついた様子で後片付けに追われている時に、年輩の男性がずうずうしくやって来た。
年輩の男性は、和樹のかつての上司であった。
年輩の男性は、和樹のもとへやって来るなりヘラヘラとした表情で頼みごとをした。
年輩の男性は、和樹に『知人の家のひとり娘さんをもろてくれぇ~』と言うた。
トートツに結婚しろと言われた和樹は『ちょっと待ってください!!』と言うた。
年輩の男性は、和樹の前で両手を合わせながら言うた。
「急なことでもうしわけないけど、引き受けてくれるかな?」
和樹は、怒った声で言うた。
「困りますよ!!急に結婚しろと言われたぼくの身になってください!!」
年輩の男性は、人を怒らせるような声で和樹に言うた。
「分かってるよぉ…和樹くんの家のご両親にはきちんと伝えておくから…先方さんの家が『はよせえはよせえ…』と言うているのだよぉ~」
先方さんカタの家が『はよせえ…』といよるって…
和樹は、ものすごく困った表情を浮かべてつぶやいた。
先方さんカタの家のひとり娘さんは、婚約者の男性と7月1日に挙式披露宴を挙げる予定であった。
友人知人たちだけで挙式披露宴を挙げると言うことに、ひとり娘さんの両親が不満を唱えた。
年輩の男性は、先方さんの家の不満を鎮めるためにふたりを別れさせた。
そのことを聞いた和樹は『どうしてそんなリフジンなことをしたのですか!?』と怒った。
年輩の男性は、オカマ声で『相手の男性に対してのジンテキホショウはするから…それよりも、先方さんの怒りを鎮めるためにはよくれぇ~』と言うて和樹に許し乞いをした。
オカマ声で言われた和樹は、シブシブ承知した。
同時に、和樹は自身の結婚に違和感をおぼえた。
年輩の男性による身勝手が原因で、深刻なトラブルが発生した。
7月1日の午前11時頃であった。
場所は、大浜湊町(おおはまみなとちょう)の伊予水軍(かっぽう料亭)のとなりにあるブライダルレストランにて…
レストランには、ひとり娘さんと婚約者だった男性の共通の友人知人たちが集まっていた。
挙式披露宴は、ひとり娘さんと和樹・ひとり娘さんの婚約者だった男性と別の女性の二組合同で執り行われることになった。
ひとり娘さんと婚約者だった男性の友人知人たちは、そのことを全く知らなかった。
場所は変わって、新婦の控え室にて…
控え室には、新婦・立岡しほこ(29歳)がいた。
純白のウェディングドレス姿のしほこは、深い悲しみに包まれていた。
本当は、大好きなカレと結婚したかった…
もうイヤ…
こんなことになるのであれば、結婚なんかするんじゃなかった…
頭がサクラン状態におちいったしほこは、控え室から逃げ出した。
その後、裏口に停まっていた花屋の店名入りのボンゴ(ワゴン車)に乗り込んだ。
それから2分後、しほこを乗せたボンゴが出発した。
ところ変わって、和樹がいる控え室にて…
純白のタキシード姿の和樹は、ボーゼンとした表情で立っていた。
控え室に、和樹の両親・鹿之助きぬよ(60代後半)と長兄・辰史(たつし・48歳・福祉就労)と妹・ひなこ(30歳・家事手伝い)の4人が来ていた。
鹿之助と辰史とひなこが見ている前で、きぬよが和樹を怒鳴りつけていた。
「あんたなに考えとんで!!和樹は自分の身勝手さが分かっていないわね!!ひとの話を聞きなさい!!」
見かねた鹿之助は、きぬよを止めた。
「おい、やめんか!!」
きぬよは、鹿之助に『あなたは入ってこないで!!』と怒鳴り付けたあと、和樹を怒鳴り付けた。
「和樹!!」
「なんぞぉ~」
「おかーさんの話を聞きなさい!!」
「コラ!!やめんか!!」
鹿之助に止められたきぬよは、あつかましい声で鹿之助に言うた。
「あなた!!あなたも和樹を怒鳴りつけてよ!!」
鹿之助は、ものすごく困った表情で言うた。
「和樹を怒鳴りつけてどうするのだ!?」
「和樹が勝手なことをしたから怒鳴りつけるのよ!!」
「だからといって、一方的に怒鳴りつけたら和樹がイシュクするぞ!!」
「あなた!!」
「なんやオドレ!!」
「あなたはそれでもテテオヤなの!!テテオヤだったら、言うことを聞かせなさいよ!!」
「やかましいだまれ!!」
鹿之助夫婦が怒鳴り声をあげて大ゲンカを起こした。
端で見ていた辰史がワケの分からない言葉を発しながら暴れ回った。
ひなこは、強烈な叫び声をあげて泣きさけんだ。
鹿之助夫婦が怒鳴り声をあげたことが原因で、和樹の一家はレストランのスタッフさんから『お帰りください!!』と言われた。
その一方で、逃げ出したしほこは今治市内の花屋さんの前で発見されたが、挙式披露宴はお流れとなった。
(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!ドスーン!!ドザーッ!!ドザーッ!!)
7月5日の夜7時過ぎであった。
この日の夜、雷を伴って1時間に50ミリに相当する非常に激しい雨が降っていた。
ところ変わって、大西町山之内にある一戸建ての家にて…
家は、和樹と鹿之助夫婦と辰史とひなこの5人が暮らしていた。
家にしほこの両親・立岡半兵衛よしみ夫婦がおわびに来ていた。
半兵衛夫婦は、鹿之助夫婦に今回の一件をわびたあと改めて和樹にしほこと結婚してほしいとお願いした。
しかし、きぬよはきっぱりと拒否した。
「おことわりします…すぐにお帰りくださいませ…」
きっぱりと拒否された半兵衛は、おたついた声できぬよに言うた。
「困ります…私たち夫婦は、しほこが結婚しないと困るのです!!」
「それだったら、かつての婚約者の男性にしてください!!」
「(婚約者だった男性)くんとしほこの結婚はダメなんです…」
「だったら、別の家の息子さんを選べばいいでしょ…」
「いいえ、それもだめです。」
「私たち夫婦は、しほこと和樹くんが結婚することを望んでいるのです…」
「どうかお願いです…首をたてに振ってください…」
「拒否します!!家が狭いので、花嫁さんを迎えることができません!!」
「新居は用意しますから…」
「いいえ、拒否します!!」
「それじゃ、和樹くんはいつになったら結婚するのですか?」
「和樹に花嫁さんは猫に小判です!!」
「そんな…」
「うちは他にも深刻な問題を抱えているのよ!!そんな状態では花嫁さんを迎えることはできません!!とにかく、お帰りください!!」
きぬよは、よりし烈な怒鳴り声で半兵衛夫婦を怒鳴りつけた。
しかし、半兵衛夫婦はきぬよ夫婦がショウダクするまで帰らないと言うて居すわった。
その時であった。
サクラン状態におちいった辰史が鉄パイプを持って玄関にやって来た。
「オドレ立岡!!」
(ガーン!!)
辰史は、半兵衛の背中を鉄パイプで殴りつけた。
「いたーい!!」
半兵衛は、その場に座り込んだ。
辰史は、半兵衛夫婦にものすごい怒りを込めて言うた。
「オドレふざけんなよ!!帰れといよんのが聞こえないのか!?」
端にいた鹿之助が辰史を怒鳴り付けた。
「辰史!!なんてことするのだ!?」
鹿之助に怒鳴られた辰史は、ひどくおびえている半兵衛を玄関から引っぱりだした。
し烈な雨が降る中で、辰史は半兵衛を激しい力を込めて殴りつけた。
(ドカーン!!バリバリバリバリ!!ドスーン!!ドザーッ!!)
この時、よりし烈な雷鳴がとどろいた。
同時に、100ミリ以上のし烈な雨が降り出した。
し烈な雨は、このあと数時間以上つづいた。
7月6日のことであった。
この日は、朝からザーザー降りの雨が断続的に降っていた。
和樹は、いつも通りに出勤して仕事をしていた。
しかし、昼過ぎに会社から『災害対策本部を立ち上げたので、従業員は全員社内に待機せよ。』と命令されたので、帰宅できなくなった。
辰史は、施設から『大雨警報が発令されたので家にいてください。』と言われたので、ずっと家にいた。
午後3時過ぎに、四国地方のJR全線が運休になった。
その直後に、雨の降り方がよりし烈になった。
いつ、大雨特別警報に切り替わってもおかしくない状況に置かれた。
どうしよう…
どうしよう…
(ドザーーーーーーーッ!!)
夕方5時過ぎのことであった。
西日本一帯に、よりし烈な雨が大量に降り注いだ。
15分後に、西日本から東海地方一帯に出されていた大雨警報が大雨特別警報に切り替わった。
(ドザーッ!!)
和樹の家がある山之内地区で大規模な土砂崩れが発生した。
和樹の家から南へ500メートル先にある住宅地が大量の土砂に埋もれた。
下の地区を流れる川があふれたことによって、田畑や住宅地が浸水した。
一家4人は大西支所へ避難して無事であった。
それから4日後に、四国地方が梅雨明けを迎えた。
家は、土砂崩れの被害を受けずに済んだ。
しかし、二次災害の恐れがあるので一家4人は帰宅を断念した。
帰宅を断念した一家4人は、玉川町小鴨部(こかんべ)で暮らしている鹿之助の知人の家に転がり込んだ。
和樹は、その間ビジネスホテルを転々として暮らしていた。
一家4人は、知人の家族たちと『3ヶ月以内に新しい住まいを見つける…』と言うヤクソクをかわした上で知人の家に滞在していた。
しかし、一家4人は行動を起こさなかった。
一家4人は、知らないうちに知人の家族に大メーワクをかけたことなどおかまいなしになっていた。
そして、9月30日…
一家4人に、新たな悲劇が襲った。
(グオーッ!!グオーッ!!グオーッ!!)
9月21日に、日本のうんと遠い海上で発生した台風24号が西日本に接近した。
9月30日の明け方に、四国地方が風速50ノット(25メートル)以上の暴風域に入った。
午後3時過ぎに、台風の中心が室戸岬沖に到達した。
その時であった。
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!)
防災行政無線のスピーカーから強烈なブザーが鳴り響いた。
玉川ダムで緊急放流を行われるようだ…
鹿之助の知人の家は、蒼社川と支流の川が合流する場所にあるので、緊急放流によって壊滅的な被害を受ける恐れが出た。
夕方4時58分頃であった。
(ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!ドザーーーーーーーッ!!)
玉川ダムの緊急放流用のゲートが開いた。
ゲートから、濁った水のかたまりが勢いよく流れ出た。
蒼社川の水位が氾らん危険水位を超えた…
鹿之助夫婦の知人の家の敷地に、大量の水のかたまりが流入した。
鹿之助夫婦一家4人は、その頃地区を出て安全なところへ向かっていた。
知人の家族は、大量の水のかたまりにのみ込まれて行方不明になった。
川の合流点付近の地区は、大量の水のかたまりにのみ込まれて壊滅した。
一家4人は、それから2ヶ月に渡って路頭に迷う日々を送ることになった。
それから2ヶ月後の11月30日の朝6時頃…
路頭に迷いつづけていた一家4人は、イオンモール今治新都市の向かいにあるリビングカタヤマ(家具量販店)の駐車場で通りかかった住民に発見されたあと、警察に保護された。
その後、次男・智之(ともゆき・43歳・JA職員)が一家4人の身元を引き受けた。
一家4人は、智之夫婦と一緒に帰宅した。
時は、夜8時頃であった。
ところ変わって、大西町九王鴨池にある大きめの新築の家にて…
家は、智之と妻・ゆりか(49歳・パート主婦)と長男・愛也(まなや・中1)と長女まりえ(5つ)の4人が暮らしている。
家は、2・5世帯が暮らせる規模の大きめの家であるけど、智之夫婦には精神的なゆとりはなかった。
鹿之助夫婦一家4人と和樹がここで暮らすことになった…
家のローンの返済と愛也の高校受験のことなどを抱えて苦しんでいるのに…
一家4人と和樹は、うちらの気持ちを踏みにじった。
智之夫婦は、鹿之助夫婦を思い切り怒鳴り付けた。
「義父母さま!!うちら家族は、この家のローン返済などで経済的なゆとりがないのよ!!とにかくうちらの話を聞いてください!!」
智之は、あたりをキョロキョロと見ていた鹿之助を怒鳴り付けた。
「オヤジ!!ヘラみんと人の話を聞けや!!」
きぬよは、ものすごくつらそうな声で智之夫婦に言うた。
「なんでそんなに大声をあげるのよ…どうしておだやかに話し合いができんのよぉ~」
ゆりかは、ものすごくあつかましい声で鹿之助夫婦に言うた。
「義父母さまは、おうちを建てた人のご苦労が全く分かっていないみたいね!!この家は2・5世帯が暮らせる規模はあるけど、うちは経済的なゆとりがないのよ!!」
「だから、うちらにどうせえと言いたいのよ…」
きぬよが居直った声で言うたので、智之夫婦はよりし烈な怒りを込めて一家5人をボロクソに怒鳴りつけた。
『新しい住まいを見つけろ!!』
『辰史を独立させろ!!』
『和樹をムコヨウシに出せ!!』
『ひなこを嫁に出せ!!』
智之夫婦は、一家5人をボロクソに怒鳴りながらシツヨウに命令と指示を繰りかえした。
智之夫婦からボロクソに怒鳴られた一家5人は、命令と指示を繰りかえされたことによってイシュクした。
山之内の家は、2ヶ月前の台風でぺちゃんこにつぶれたので帰る家がないのよ…
智之夫婦は、自分たちのことしか頭にない…
なんで、うちらの気持ちをくみ取ろうとしないのよ…
新しい住まいを見つけろと言うけど、どこから手をつければいいのか分からない…
辰史に自立せえと言うけど、障がいを抱えているから福祉の助けがないとできないのよ…
和樹は、この前の一件で結婚がむずかしくなったのよ…
ひなこは、30歳を過ぎたから結婚の条件が悪くなったから、無理よ…
どうして智之夫婦は、うちらの気持ちが分からないのよ…
時は流れて…
2021年3月24日頃であった。
鹿之助夫婦一家は、智之夫婦から命令指示を繰りかえされたことが原因でイシュクした状態がつづいた。
辰史は、あの一件で精神的なダメージを受けたので福祉就労施設をやめて、同じ系統の福祉施設へ入所した。
辰史はヘルパーさんの助けがないと生きて行けない上に、智之夫婦から疎まれたので一生家に帰れなくなった。
鹿之助夫婦は、新しい住まいを探すと言うたが智之夫婦の家が居心地がよくなったのでナマケモノになった。
愛也は、県立高校の受験に失敗した。
先に合格した私立高校も入学を拒否した。
同時に、ひきこもりになった。
家族の先行きが不安定になっている中で、新たな事件が発生した。
スエズ運河で、特大タンカーがザショウした。
特大タンカーは、いまぞうが建造した船で子会社が所有していた船であった。
和樹は、会社から調査チームを立ち上げたので自宅待機するようにと言われた。
ザショウしたタンカーの建造や運航会社との契約などで、担当者が不在だったので、和樹が勝手に進めていたことが原因であった。
和樹は、上司の机に辞表をたたきつけたあとデスクの整理をして、会社を去った。
その日の深夜11時50分頃であった。
和樹がデイスイ状態で帰宅した。
応対に出たのは、智之夫婦だった。
智之夫婦は、和樹を見るなり怒鳴り声をあげた。
「あんたなに考えとんで!!会社からキンシンしていなさいと言われているのに、グデングデンに酔っぱらっている場合じゃないでしょ!!」
「オドレ!!甘ったれるな!!」
(ガツーン!!)
智之は、和樹のこめかみをよりし烈な力を込めてグーで殴りつけた。
(ドサッ!!)
和樹は、その場に倒れた。
智之は、倒れた和樹の胸ぐらをつかんでボコボコに殴りつけた。
和樹は、智之からボコボコに殴られてボロボロに傷ついた。
その後、和樹が智之を数発殴り返した。
殴られた智之は、すぐさまに反撃した。
和樹と智之は、怒鳴り声をあげながらどつきあいの大ゲンカを起こした。
家の中にいる鹿之助夫婦とひなこは、おびえまくっていた。
次の朝9時過ぎであった。
智之一家3人は、朝から出かけていて不在だった。
愛也は、部屋に引きこもっていた。
ひなこは、庭でセンタクしていた。
家の広間に、鹿之助夫婦と和樹とかつての上司の男性の4人がいて、話し合いをしていた。
きぬよは、よりあつかましい声で和樹に言うた。
「和樹!!」
「なんぞぉ~」
「ゆうべ、兄さんと義姉(ねえ)さんが怒鳴り声をあげたのかが分かっていないわね!!」
「(ひねた声で)だからなにが言いたいんだよ…」
「この家は、兄さんと義姉さんがコツコツとためたおカネで建てた家なのよ!!」
「(ひねた声で)言わなくても分かっているよ!!」
「和樹!!」
「コラ!!やめろ!!」
「あなた!!」
きぬよを止めた鹿之助は、きぬよにものすごくあつかましい声で言うた。
「これ以上、和樹を怒鳴りつけるな!!」
「あなた!!」
「なんぞぉ~」
「あなたも厳しく言いなさいよ!!」
「ほやけん、どう言えと言うんぞぉ~」
「和樹は甘ったれているのよ!!職場で上の人にたてついて、勝手に辞表出してやめたのよ!!」
「和樹はいまぞうにいたくなかったんだろ…いたくない職場なんかつづける必要などない…」
「あなた!!」
端で聞いていた和樹のかつての上司は『ああ、なさけない…』と言うてため息ついた。
和樹のかつての上司は、和樹に対して『4月からワークトレーニングを受けなさい!!』と命令した。
和樹は『分かったよ~』とひねた表情でつぶやいた。
4月1日より、和樹は松山にある国の機関で再就職のためのワークトレーニングを受講した。
その2ヶ月後に、機関の命令で今治市内の中央郵便局に再就職した。
しかし、家庭内の問題は放置されていた。
愛也は、私立高校に進学したがひきこもり状態がつづいていたので休学した。
ひなこは2年前からコンカツを始めたが、OKがもらえない状態がつづいた。
その一方で、しほこはまだ結婚していなかった。
両親や周囲の人たちが持ってきた話を次々とけとばしたしほこは、一生ひとり身で通すとイコジになった。
両親は、ものすごくつらい表情を浮かべてつぶやいた。
しほこが私たちの想いに答えてくれない…
しほこが幸せになれるようにと思って一生懸命に動いたのに…
しほこが幸せになれる方法は、結婚しかないのに…
ひとり身で通すなんて、無理よ…
どうすれば、しほこが結婚に向くのか…
場所は、今治市小浦町にあるいまぞう(今治造船)の本社オフィスにて…
時は、正午前であった。
営業部の10課長の舟入和樹(ふないりかずき・36歳)は、ずる休みした従業員さんが残した仕事を片付けに追われていた。
和樹がいる部署は、産休育休取得した女性従業員さん3人と新婚旅行中の従業員さん5人が不在である。
その上に、数人の従業員さんが会社にウソの理由を作ってずる休みをしていたので、極度の人員不足におちいった。
和樹がイラついた様子で後片付けに追われている時に、年輩の男性がずうずうしくやって来た。
年輩の男性は、和樹のかつての上司であった。
年輩の男性は、和樹のもとへやって来るなりヘラヘラとした表情で頼みごとをした。
年輩の男性は、和樹に『知人の家のひとり娘さんをもろてくれぇ~』と言うた。
トートツに結婚しろと言われた和樹は『ちょっと待ってください!!』と言うた。
年輩の男性は、和樹の前で両手を合わせながら言うた。
「急なことでもうしわけないけど、引き受けてくれるかな?」
和樹は、怒った声で言うた。
「困りますよ!!急に結婚しろと言われたぼくの身になってください!!」
年輩の男性は、人を怒らせるような声で和樹に言うた。
「分かってるよぉ…和樹くんの家のご両親にはきちんと伝えておくから…先方さんの家が『はよせえはよせえ…』と言うているのだよぉ~」
先方さんカタの家が『はよせえ…』といよるって…
和樹は、ものすごく困った表情を浮かべてつぶやいた。
先方さんカタの家のひとり娘さんは、婚約者の男性と7月1日に挙式披露宴を挙げる予定であった。
友人知人たちだけで挙式披露宴を挙げると言うことに、ひとり娘さんの両親が不満を唱えた。
年輩の男性は、先方さんの家の不満を鎮めるためにふたりを別れさせた。
そのことを聞いた和樹は『どうしてそんなリフジンなことをしたのですか!?』と怒った。
年輩の男性は、オカマ声で『相手の男性に対してのジンテキホショウはするから…それよりも、先方さんの怒りを鎮めるためにはよくれぇ~』と言うて和樹に許し乞いをした。
オカマ声で言われた和樹は、シブシブ承知した。
同時に、和樹は自身の結婚に違和感をおぼえた。
年輩の男性による身勝手が原因で、深刻なトラブルが発生した。
7月1日の午前11時頃であった。
場所は、大浜湊町(おおはまみなとちょう)の伊予水軍(かっぽう料亭)のとなりにあるブライダルレストランにて…
レストランには、ひとり娘さんと婚約者だった男性の共通の友人知人たちが集まっていた。
挙式披露宴は、ひとり娘さんと和樹・ひとり娘さんの婚約者だった男性と別の女性の二組合同で執り行われることになった。
ひとり娘さんと婚約者だった男性の友人知人たちは、そのことを全く知らなかった。
場所は変わって、新婦の控え室にて…
控え室には、新婦・立岡しほこ(29歳)がいた。
純白のウェディングドレス姿のしほこは、深い悲しみに包まれていた。
本当は、大好きなカレと結婚したかった…
もうイヤ…
こんなことになるのであれば、結婚なんかするんじゃなかった…
頭がサクラン状態におちいったしほこは、控え室から逃げ出した。
その後、裏口に停まっていた花屋の店名入りのボンゴ(ワゴン車)に乗り込んだ。
それから2分後、しほこを乗せたボンゴが出発した。
ところ変わって、和樹がいる控え室にて…
純白のタキシード姿の和樹は、ボーゼンとした表情で立っていた。
控え室に、和樹の両親・鹿之助きぬよ(60代後半)と長兄・辰史(たつし・48歳・福祉就労)と妹・ひなこ(30歳・家事手伝い)の4人が来ていた。
鹿之助と辰史とひなこが見ている前で、きぬよが和樹を怒鳴りつけていた。
「あんたなに考えとんで!!和樹は自分の身勝手さが分かっていないわね!!ひとの話を聞きなさい!!」
見かねた鹿之助は、きぬよを止めた。
「おい、やめんか!!」
きぬよは、鹿之助に『あなたは入ってこないで!!』と怒鳴り付けたあと、和樹を怒鳴り付けた。
「和樹!!」
「なんぞぉ~」
「おかーさんの話を聞きなさい!!」
「コラ!!やめんか!!」
鹿之助に止められたきぬよは、あつかましい声で鹿之助に言うた。
「あなた!!あなたも和樹を怒鳴りつけてよ!!」
鹿之助は、ものすごく困った表情で言うた。
「和樹を怒鳴りつけてどうするのだ!?」
「和樹が勝手なことをしたから怒鳴りつけるのよ!!」
「だからといって、一方的に怒鳴りつけたら和樹がイシュクするぞ!!」
「あなた!!」
「なんやオドレ!!」
「あなたはそれでもテテオヤなの!!テテオヤだったら、言うことを聞かせなさいよ!!」
「やかましいだまれ!!」
鹿之助夫婦が怒鳴り声をあげて大ゲンカを起こした。
端で見ていた辰史がワケの分からない言葉を発しながら暴れ回った。
ひなこは、強烈な叫び声をあげて泣きさけんだ。
鹿之助夫婦が怒鳴り声をあげたことが原因で、和樹の一家はレストランのスタッフさんから『お帰りください!!』と言われた。
その一方で、逃げ出したしほこは今治市内の花屋さんの前で発見されたが、挙式披露宴はお流れとなった。
(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!ドスーン!!ドザーッ!!ドザーッ!!)
7月5日の夜7時過ぎであった。
この日の夜、雷を伴って1時間に50ミリに相当する非常に激しい雨が降っていた。
ところ変わって、大西町山之内にある一戸建ての家にて…
家は、和樹と鹿之助夫婦と辰史とひなこの5人が暮らしていた。
家にしほこの両親・立岡半兵衛よしみ夫婦がおわびに来ていた。
半兵衛夫婦は、鹿之助夫婦に今回の一件をわびたあと改めて和樹にしほこと結婚してほしいとお願いした。
しかし、きぬよはきっぱりと拒否した。
「おことわりします…すぐにお帰りくださいませ…」
きっぱりと拒否された半兵衛は、おたついた声できぬよに言うた。
「困ります…私たち夫婦は、しほこが結婚しないと困るのです!!」
「それだったら、かつての婚約者の男性にしてください!!」
「(婚約者だった男性)くんとしほこの結婚はダメなんです…」
「だったら、別の家の息子さんを選べばいいでしょ…」
「いいえ、それもだめです。」
「私たち夫婦は、しほこと和樹くんが結婚することを望んでいるのです…」
「どうかお願いです…首をたてに振ってください…」
「拒否します!!家が狭いので、花嫁さんを迎えることができません!!」
「新居は用意しますから…」
「いいえ、拒否します!!」
「それじゃ、和樹くんはいつになったら結婚するのですか?」
「和樹に花嫁さんは猫に小判です!!」
「そんな…」
「うちは他にも深刻な問題を抱えているのよ!!そんな状態では花嫁さんを迎えることはできません!!とにかく、お帰りください!!」
きぬよは、よりし烈な怒鳴り声で半兵衛夫婦を怒鳴りつけた。
しかし、半兵衛夫婦はきぬよ夫婦がショウダクするまで帰らないと言うて居すわった。
その時であった。
サクラン状態におちいった辰史が鉄パイプを持って玄関にやって来た。
「オドレ立岡!!」
(ガーン!!)
辰史は、半兵衛の背中を鉄パイプで殴りつけた。
「いたーい!!」
半兵衛は、その場に座り込んだ。
辰史は、半兵衛夫婦にものすごい怒りを込めて言うた。
「オドレふざけんなよ!!帰れといよんのが聞こえないのか!?」
端にいた鹿之助が辰史を怒鳴り付けた。
「辰史!!なんてことするのだ!?」
鹿之助に怒鳴られた辰史は、ひどくおびえている半兵衛を玄関から引っぱりだした。
し烈な雨が降る中で、辰史は半兵衛を激しい力を込めて殴りつけた。
(ドカーン!!バリバリバリバリ!!ドスーン!!ドザーッ!!)
この時、よりし烈な雷鳴がとどろいた。
同時に、100ミリ以上のし烈な雨が降り出した。
し烈な雨は、このあと数時間以上つづいた。
7月6日のことであった。
この日は、朝からザーザー降りの雨が断続的に降っていた。
和樹は、いつも通りに出勤して仕事をしていた。
しかし、昼過ぎに会社から『災害対策本部を立ち上げたので、従業員は全員社内に待機せよ。』と命令されたので、帰宅できなくなった。
辰史は、施設から『大雨警報が発令されたので家にいてください。』と言われたので、ずっと家にいた。
午後3時過ぎに、四国地方のJR全線が運休になった。
その直後に、雨の降り方がよりし烈になった。
いつ、大雨特別警報に切り替わってもおかしくない状況に置かれた。
どうしよう…
どうしよう…
(ドザーーーーーーーッ!!)
夕方5時過ぎのことであった。
西日本一帯に、よりし烈な雨が大量に降り注いだ。
15分後に、西日本から東海地方一帯に出されていた大雨警報が大雨特別警報に切り替わった。
(ドザーッ!!)
和樹の家がある山之内地区で大規模な土砂崩れが発生した。
和樹の家から南へ500メートル先にある住宅地が大量の土砂に埋もれた。
下の地区を流れる川があふれたことによって、田畑や住宅地が浸水した。
一家4人は大西支所へ避難して無事であった。
それから4日後に、四国地方が梅雨明けを迎えた。
家は、土砂崩れの被害を受けずに済んだ。
しかし、二次災害の恐れがあるので一家4人は帰宅を断念した。
帰宅を断念した一家4人は、玉川町小鴨部(こかんべ)で暮らしている鹿之助の知人の家に転がり込んだ。
和樹は、その間ビジネスホテルを転々として暮らしていた。
一家4人は、知人の家族たちと『3ヶ月以内に新しい住まいを見つける…』と言うヤクソクをかわした上で知人の家に滞在していた。
しかし、一家4人は行動を起こさなかった。
一家4人は、知らないうちに知人の家族に大メーワクをかけたことなどおかまいなしになっていた。
そして、9月30日…
一家4人に、新たな悲劇が襲った。
(グオーッ!!グオーッ!!グオーッ!!)
9月21日に、日本のうんと遠い海上で発生した台風24号が西日本に接近した。
9月30日の明け方に、四国地方が風速50ノット(25メートル)以上の暴風域に入った。
午後3時過ぎに、台風の中心が室戸岬沖に到達した。
その時であった。
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!)
防災行政無線のスピーカーから強烈なブザーが鳴り響いた。
玉川ダムで緊急放流を行われるようだ…
鹿之助の知人の家は、蒼社川と支流の川が合流する場所にあるので、緊急放流によって壊滅的な被害を受ける恐れが出た。
夕方4時58分頃であった。
(ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!ドザーーーーーーーッ!!)
玉川ダムの緊急放流用のゲートが開いた。
ゲートから、濁った水のかたまりが勢いよく流れ出た。
蒼社川の水位が氾らん危険水位を超えた…
鹿之助夫婦の知人の家の敷地に、大量の水のかたまりが流入した。
鹿之助夫婦一家4人は、その頃地区を出て安全なところへ向かっていた。
知人の家族は、大量の水のかたまりにのみ込まれて行方不明になった。
川の合流点付近の地区は、大量の水のかたまりにのみ込まれて壊滅した。
一家4人は、それから2ヶ月に渡って路頭に迷う日々を送ることになった。
それから2ヶ月後の11月30日の朝6時頃…
路頭に迷いつづけていた一家4人は、イオンモール今治新都市の向かいにあるリビングカタヤマ(家具量販店)の駐車場で通りかかった住民に発見されたあと、警察に保護された。
その後、次男・智之(ともゆき・43歳・JA職員)が一家4人の身元を引き受けた。
一家4人は、智之夫婦と一緒に帰宅した。
時は、夜8時頃であった。
ところ変わって、大西町九王鴨池にある大きめの新築の家にて…
家は、智之と妻・ゆりか(49歳・パート主婦)と長男・愛也(まなや・中1)と長女まりえ(5つ)の4人が暮らしている。
家は、2・5世帯が暮らせる規模の大きめの家であるけど、智之夫婦には精神的なゆとりはなかった。
鹿之助夫婦一家4人と和樹がここで暮らすことになった…
家のローンの返済と愛也の高校受験のことなどを抱えて苦しんでいるのに…
一家4人と和樹は、うちらの気持ちを踏みにじった。
智之夫婦は、鹿之助夫婦を思い切り怒鳴り付けた。
「義父母さま!!うちら家族は、この家のローン返済などで経済的なゆとりがないのよ!!とにかくうちらの話を聞いてください!!」
智之は、あたりをキョロキョロと見ていた鹿之助を怒鳴り付けた。
「オヤジ!!ヘラみんと人の話を聞けや!!」
きぬよは、ものすごくつらそうな声で智之夫婦に言うた。
「なんでそんなに大声をあげるのよ…どうしておだやかに話し合いができんのよぉ~」
ゆりかは、ものすごくあつかましい声で鹿之助夫婦に言うた。
「義父母さまは、おうちを建てた人のご苦労が全く分かっていないみたいね!!この家は2・5世帯が暮らせる規模はあるけど、うちは経済的なゆとりがないのよ!!」
「だから、うちらにどうせえと言いたいのよ…」
きぬよが居直った声で言うたので、智之夫婦はよりし烈な怒りを込めて一家5人をボロクソに怒鳴りつけた。
『新しい住まいを見つけろ!!』
『辰史を独立させろ!!』
『和樹をムコヨウシに出せ!!』
『ひなこを嫁に出せ!!』
智之夫婦は、一家5人をボロクソに怒鳴りながらシツヨウに命令と指示を繰りかえした。
智之夫婦からボロクソに怒鳴られた一家5人は、命令と指示を繰りかえされたことによってイシュクした。
山之内の家は、2ヶ月前の台風でぺちゃんこにつぶれたので帰る家がないのよ…
智之夫婦は、自分たちのことしか頭にない…
なんで、うちらの気持ちをくみ取ろうとしないのよ…
新しい住まいを見つけろと言うけど、どこから手をつければいいのか分からない…
辰史に自立せえと言うけど、障がいを抱えているから福祉の助けがないとできないのよ…
和樹は、この前の一件で結婚がむずかしくなったのよ…
ひなこは、30歳を過ぎたから結婚の条件が悪くなったから、無理よ…
どうして智之夫婦は、うちらの気持ちが分からないのよ…
時は流れて…
2021年3月24日頃であった。
鹿之助夫婦一家は、智之夫婦から命令指示を繰りかえされたことが原因でイシュクした状態がつづいた。
辰史は、あの一件で精神的なダメージを受けたので福祉就労施設をやめて、同じ系統の福祉施設へ入所した。
辰史はヘルパーさんの助けがないと生きて行けない上に、智之夫婦から疎まれたので一生家に帰れなくなった。
鹿之助夫婦は、新しい住まいを探すと言うたが智之夫婦の家が居心地がよくなったのでナマケモノになった。
愛也は、県立高校の受験に失敗した。
先に合格した私立高校も入学を拒否した。
同時に、ひきこもりになった。
家族の先行きが不安定になっている中で、新たな事件が発生した。
スエズ運河で、特大タンカーがザショウした。
特大タンカーは、いまぞうが建造した船で子会社が所有していた船であった。
和樹は、会社から調査チームを立ち上げたので自宅待機するようにと言われた。
ザショウしたタンカーの建造や運航会社との契約などで、担当者が不在だったので、和樹が勝手に進めていたことが原因であった。
和樹は、上司の机に辞表をたたきつけたあとデスクの整理をして、会社を去った。
その日の深夜11時50分頃であった。
和樹がデイスイ状態で帰宅した。
応対に出たのは、智之夫婦だった。
智之夫婦は、和樹を見るなり怒鳴り声をあげた。
「あんたなに考えとんで!!会社からキンシンしていなさいと言われているのに、グデングデンに酔っぱらっている場合じゃないでしょ!!」
「オドレ!!甘ったれるな!!」
(ガツーン!!)
智之は、和樹のこめかみをよりし烈な力を込めてグーで殴りつけた。
(ドサッ!!)
和樹は、その場に倒れた。
智之は、倒れた和樹の胸ぐらをつかんでボコボコに殴りつけた。
和樹は、智之からボコボコに殴られてボロボロに傷ついた。
その後、和樹が智之を数発殴り返した。
殴られた智之は、すぐさまに反撃した。
和樹と智之は、怒鳴り声をあげながらどつきあいの大ゲンカを起こした。
家の中にいる鹿之助夫婦とひなこは、おびえまくっていた。
次の朝9時過ぎであった。
智之一家3人は、朝から出かけていて不在だった。
愛也は、部屋に引きこもっていた。
ひなこは、庭でセンタクしていた。
家の広間に、鹿之助夫婦と和樹とかつての上司の男性の4人がいて、話し合いをしていた。
きぬよは、よりあつかましい声で和樹に言うた。
「和樹!!」
「なんぞぉ~」
「ゆうべ、兄さんと義姉(ねえ)さんが怒鳴り声をあげたのかが分かっていないわね!!」
「(ひねた声で)だからなにが言いたいんだよ…」
「この家は、兄さんと義姉さんがコツコツとためたおカネで建てた家なのよ!!」
「(ひねた声で)言わなくても分かっているよ!!」
「和樹!!」
「コラ!!やめろ!!」
「あなた!!」
きぬよを止めた鹿之助は、きぬよにものすごくあつかましい声で言うた。
「これ以上、和樹を怒鳴りつけるな!!」
「あなた!!」
「なんぞぉ~」
「あなたも厳しく言いなさいよ!!」
「ほやけん、どう言えと言うんぞぉ~」
「和樹は甘ったれているのよ!!職場で上の人にたてついて、勝手に辞表出してやめたのよ!!」
「和樹はいまぞうにいたくなかったんだろ…いたくない職場なんかつづける必要などない…」
「あなた!!」
端で聞いていた和樹のかつての上司は『ああ、なさけない…』と言うてため息ついた。
和樹のかつての上司は、和樹に対して『4月からワークトレーニングを受けなさい!!』と命令した。
和樹は『分かったよ~』とひねた表情でつぶやいた。
4月1日より、和樹は松山にある国の機関で再就職のためのワークトレーニングを受講した。
その2ヶ月後に、機関の命令で今治市内の中央郵便局に再就職した。
しかし、家庭内の問題は放置されていた。
愛也は、私立高校に進学したがひきこもり状態がつづいていたので休学した。
ひなこは2年前からコンカツを始めたが、OKがもらえない状態がつづいた。
その一方で、しほこはまだ結婚していなかった。
両親や周囲の人たちが持ってきた話を次々とけとばしたしほこは、一生ひとり身で通すとイコジになった。
両親は、ものすごくつらい表情を浮かべてつぶやいた。
しほこが私たちの想いに答えてくれない…
しほこが幸せになれるようにと思って一生懸命に動いたのに…
しほこが幸せになれる方法は、結婚しかないのに…
ひとり身で通すなんて、無理よ…
どうすれば、しほこが結婚に向くのか…
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