【辛口ホームドラマ】かもいけ海岸
第2話
時は流れて…
2022年4月10日頃の午後1時過ぎのことであった。
場所は、今治市郷本町(ごうほんちょう)にある平安閣(結婚式場)にて…
3年9ヶ月に渡って延期されたしほこと和樹の結婚披露宴が、この日に急きょ執り行われることになった。
結婚披露宴場には、両家の親類たちがたくさん集まっていた。
場所は、新婦の控え室にて…
純白のウェディングドレス姿のしほこは『好きな人じゃないと結婚したくない!!』と言うてワガママをこねていた。
半兵衛夫婦は『おかーさんとおとーさんの夢を叶えてほしい…恋愛と結婚は違うのよ!!』としほこにクドクドクドクド言いまくった。
その時であった。
きぬよが、ものすごい血相で控え室に入ってきた。
「立岡の御両親(おやご)様…」
「あら、和樹くんのおかあさま。」
「急なことですみませんけど、披露宴を延期してください…」
きぬよは、ものすごくつらそうな表情で結婚披露宴の延期を半兵衛夫婦に申し出た。
それを聞いたよしみは、怒り狂った。
「ちょっと、それはどういうわけなのよ!?」
怒鳴られたきぬよは、延期する理由をつらそうな声で言うた。
「郵便局の人が困っているから、すぐに来てくださいと言われたのよ…」
和樹は、郵便局の人から電話で命令されたので、平安閣に来ていなかった。
和樹が前日中に配達する予定だった郵便物が多く残っていたので、今日中に配達してくれと言われた。
その中に、速達郵便が20件あった。
和樹が家族と一緒に平安閣に到着したのは、午前10時頃だった。
郵便局から電話がかかってきたのは、控え室に入ってから2分後だったと思う。
この時、郵便局の人が『郵便物がたくさん残っているぞ!!今日中に配達せえ!!』と怒鳴り声をあげた。
なので、和樹は急きょ出勤することになった。
しかし、よしみはしほこの結婚相手を間違えたとあつかましく言うた。
「こんなことになるのであれば、(かつての婚約者)くんの方がよかったわ…」
それを聞いた半兵衛は、ものすごくあつかましい声でよしみに言うた。
「今さらなにいよんぞ!!」
「はぐいたらしいテイシュね!!」
「なんじゃあオドレ!!」
半兵衛夫婦が怒鳴りあいをしていた時であった。
控え室に、式場の男性スタッフさんがあつかましい表情で入ってきた。
「新郎さまのおかあさまにお電話です!!」
スタッフからあつかましく言われたきぬよは、ムッとした表情でフロントへ向かった。
ところ変わって、高地町にある小川にて…
和樹は、岡山理科大学今治キャンパス(加計学園)から北へ1~2キロ先にあるがけ下の場所にいた。
自暴自棄におちいった和樹は、カバンの中から郵便物を地べたにかやした。
(バサバサ…)
「クソッタレ!!郵便局の仕事なんかイヤじゃあ!!郵便局の仕事なんかイヤじゃあ!!郵便局の仕事なんかイヤじゃあ!!」
(カチッ、カチッ、カチッ…ポッ…)
チャッカマン(ライター)を点火した和樹は、地べたにかやした郵便物に火をつけた。
そして、あらかじめ所持していた携行缶に入っているガソリンをホンダカブ(バイク)にまいた。
ベルトにつけているスマホから、きぬよの声が聞こえた。
「もしもし和樹…和樹、聞こえる?…今、どこにいるのよ!?…和樹、一体なにがあったの!?」
頭がサクラン状態におちいった和樹は、心神喪失状態におちいった。
受話器ごしから、きぬよの怒鳴り声が聞こえた。
「和樹!!立岡の家の御両親と替わるから…なにがあったのか話して!!」
電話は、半兵衛に替わった。
半兵衛は、和樹に一体なにがあったのかを聞いた。
「和樹くん、聞こえるか…ワシだ…しほこの父だ…おーい、一体なにがあったのだ…和樹くん…」
和樹は『オレ、逃げるから…アバよ!!』と言うたあと、点火したチャッカマンでカブ(バイク)に火をつけた。
その後、スマホを捨てて近見山へ逃走した。
激しく燃え上がった炎は、小川べりの枯草に燃え移った。
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!)
この時、市内中心部によりし烈なブザーが鳴り響いた。
し烈なブザーは、立花地区にも響きわたった。
ところ変わって、平安閣の館内のフロントにて…
半兵衛は、受話器ごしにいる和樹に呼びかけていた。
「和樹くん!!ワシに話してくれぇ!!職場でイヤなことでもあったのか!?おーい、和樹くん!!」
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!カンカンカンカンカンカン!!ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン!!)
再び、高地町の火災現場にて…
中央消防署から聞こえるし烈なブザーと地区内にあるハンショウの音と消防自動車のサイレンが鳴り響いた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「早く消してくれぇ!!」
「家が燃えてしまう!!早く消してぇ!!」
地区の住民たちが叫び声を逃げ回っていた。
火災現場に、別宮と美須賀と常盤と近見の4校区の消防団の消防車が到着した。
消防団員の人たちは、炎上しているバイクと周辺のかれくさに大量の水を放水した。
その近くに捨てられたスマホの受話器から、半兵衛の叫び声が聞こえた。
「和樹くん!!なんで小さな失敗でクヨクヨするのだ!?…仕事の失敗は仕事で取り返すことができるのだよ!!…ワシの言うことを聞け!!…和樹くん!!」
その中で、消防団員たちが消火活動にホンソウしていた。
またところ変わって、平安閣のフロントにて…
半兵衛は、受話器ごしにいる和樹に呼びかけた。
「和樹くん!!きょうの結婚披露宴はしほこ1人だけ主役で行くと決まったから…和樹くんは残っている郵便物を全部配達しなさい…しほこは、郵便局でがんばって働いている和樹くんが見たいと言うているのだぞ!!」
そこへ、純白のウェディングドレス姿のしほこが式場のスタッフさん数人と一緒にフロントにやって来た。
「和樹くん!!しほこを連れて来たよ!!今からしほこに替わるから…和樹くん!!」
半兵衛は、しほこに受話器を渡す前に和樹を励ましてくれと言うた。
「しほこ…ひと言でいいから『好きよ』と言え!!」
命令されたしほこは『イヤ!!』と言うて拒否した。
よしみは、泣きそうな声でしほこに言うた。
「しほこ!!なんで拒否するのよ!?」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「しほこ!!『好き』と『結婚』は違うのよ!!」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「おとーさんとおかーさんの言うことを聞きなさい!!」
この時、別のスタッフさんがあつかましい声でよしみに言うた。
「お帰りください!!」
別のスタッフさんからあつかましい声で言われた半兵衛夫婦は、ものすごい血相で言うた。
「なんだと!!わしらに帰れだと!?」
「そうよ!!あんまり過ぎるわよ!!」
「他のおうちの人からクレームが来たので、お帰りください!!」
「なんじゃあオドレ!!ワーッ!!」
「なにするんですか!?」
半兵衛は、キセイをあげながら別のスタッフさんをボコボコにどつきまわした。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
しほこは、し烈な叫び声をあげながら館外へ飛び出した。
「しほこ!!しほこ!!」
よしみは、館外へ飛び出したしほこを呼びつづけた。
その間に、しほこは行方不明になった。
「ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!」
心神喪失状態におちいった半兵衛は、キセイをあげながら館内を暴れ回った。
(ガシャーン!!ガシャーン!!)
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
半兵衛は、キセイをあげながら館内の披露宴場で暴れ回った。
その間に、鹿之助夫婦の家族たちはよしみを連れて館外へ出た。
場所は、平安閣から東へ500メートル先にあるJAにて…
鹿之助夫婦の家族たちとよしみは、敷地内にあるスーパーマーケットに逃げ込んだ。
きぬよは、店員さんに助けを求めた。
「助けてください!!平安閣で、立岡のご主人が暴れ回っているの…娘さんが行方不明になったので、困っています。」
店員さんは、すぐに警察署に知らせると言うた。
しかし、よしみは『警察署へ電話する前に、松山で暮らしている長男夫婦に電話して…』と言うた。
店員さんは『分かりました。』と言うた。
よしみからメモ書きを受け取った店員さんは、受話器をあげてダイヤルした。
(プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル…プルルルルルルルルルルルルルルルル…ガチャッ)
電話がつながった。
電話は、小さい子供が出た。
「もしもし…立岡です。」
「もしもし、松山市の立岡さまのお宅でしょうか!?…えーと、JA今治立花のスーパーマーケットの店員でございますが…おじょうちゃん、おかーさんかおとーさんはいるかなぁ~」
ところ変わって、松山市内にあるしほこの兄夫婦重秀(43歳)さとみ(44歳)の家族の家にて…
電話は、末の女の子(年中くらい)がでていた。
「ちょっと待ってください…ママァ…」
場所は、6畳の居間にて…
鏡の前にいるさとみは、まつエク(まつげエクステンション)をしながら爪にマニキュアをそめていた。
「ママァ、電話よ。」
しかし、よしみはめんどくさい声で言うた。
「あとにしてと言うて…」
「すぐに出てって…」
「ママは今、まつエクとマニキュアをしているのよ…あとからかけると言うてちょうだい…」
ところ変わって、スーパーマーケットにて…
この時、非常事態が発生した。
女の子がさとみを呼びに行ってる間に、よしみが突然倒れた。
「しほこさんのおかあさま!!おかあさま!!」
きぬよは、よしみを呼びつづけた。
よしみは、弱々しい声で『しほこ…しほこ…』と言うたあと、身体がコウチョクした。
「しほこさんのおかあさま!!しほこさんのおかあさま!!」
よしみは、持病の狭心症が悪化したことに伴う心不全で急死した。
きぬよは、店員さんから受話器を受け取ったあとよしみが亡くなったことを伝えた。
この時、末の女の子が電話に出た。
「あのねえ、ママねえ、まつエクとマニキュアで離れることができないの…」
「そんなこと言うている場合じゃないわよ!!ママに言うてちょうだい!!…たった今、おばあちゃんが亡くなったわよ!!」
それを聞いた末の女の子は『イヤだ…おばあちゃんが死ぬなんてイヤだ!!』と言うたあと、し烈な叫び声をあげて泣いた。
鏡の前にいるさとみは、キーッと怒りながら髪の毛を両手でかきむしった。
その頃であった。
(ガシャーン!!ガシャーン!!)
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
サクラン状態におちいった半兵衛は、館内の披露宴場で暴れ回っていた。
この時、警察官8人が駆けつけてきた。
サクラン状態におちいった半兵衛は、警察官に向かって突進した。
警察官8人は、突進した半兵衛を押さえつけたあと手錠をかけようとしたが、暴れ出す危険が生じたので、かたいものでシツヨウに殴り付けた。
「もうアカン!!」
「わかった!!」
半兵衛は、警察官8人のリーダーが持っていたサバイバルナイフで首を切られてハイジョされた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
半兵衛の遺体は、ブルーシートに包まれたあと鑑識警察官たちによって運び出された。
しほこは、事件発生から4時間後に土橋町のコインランドリーで付近の住民に発見された。
しかし、両親が亡くなったのでひとりぼっちになった。
同時に、住む家もなくした。
しほこは、警察署に保護されたあと松山市内で暮らしている重秀夫婦に引き取られた。
またところ変わって、高地町の火災現場にて…
火災は、消防団員たちの手によって延焼を食い止めることができた。
郵便物は、すべて灰になった。
配達に使うバイクは、粉々に壊れた。
和樹が捨てたスマホも、粉々に壊れた。
そして、和樹は池の近くにある廃材置き場で焼死体で発見された。
和樹が郵便物を燃やして配達に使う車両を破損させたことと、高地町で放火事件を犯した損害賠償は、再就職するさいにかわした宣誓書に記載されている立岡家の親類の家が負うことになった。
(舟入家が経済的なゆとりがないために、立岡家の親族が損害賠償を引き受けることになった…と言うことである)
2022年4月10日頃の午後1時過ぎのことであった。
場所は、今治市郷本町(ごうほんちょう)にある平安閣(結婚式場)にて…
3年9ヶ月に渡って延期されたしほこと和樹の結婚披露宴が、この日に急きょ執り行われることになった。
結婚披露宴場には、両家の親類たちがたくさん集まっていた。
場所は、新婦の控え室にて…
純白のウェディングドレス姿のしほこは『好きな人じゃないと結婚したくない!!』と言うてワガママをこねていた。
半兵衛夫婦は『おかーさんとおとーさんの夢を叶えてほしい…恋愛と結婚は違うのよ!!』としほこにクドクドクドクド言いまくった。
その時であった。
きぬよが、ものすごい血相で控え室に入ってきた。
「立岡の御両親(おやご)様…」
「あら、和樹くんのおかあさま。」
「急なことですみませんけど、披露宴を延期してください…」
きぬよは、ものすごくつらそうな表情で結婚披露宴の延期を半兵衛夫婦に申し出た。
それを聞いたよしみは、怒り狂った。
「ちょっと、それはどういうわけなのよ!?」
怒鳴られたきぬよは、延期する理由をつらそうな声で言うた。
「郵便局の人が困っているから、すぐに来てくださいと言われたのよ…」
和樹は、郵便局の人から電話で命令されたので、平安閣に来ていなかった。
和樹が前日中に配達する予定だった郵便物が多く残っていたので、今日中に配達してくれと言われた。
その中に、速達郵便が20件あった。
和樹が家族と一緒に平安閣に到着したのは、午前10時頃だった。
郵便局から電話がかかってきたのは、控え室に入ってから2分後だったと思う。
この時、郵便局の人が『郵便物がたくさん残っているぞ!!今日中に配達せえ!!』と怒鳴り声をあげた。
なので、和樹は急きょ出勤することになった。
しかし、よしみはしほこの結婚相手を間違えたとあつかましく言うた。
「こんなことになるのであれば、(かつての婚約者)くんの方がよかったわ…」
それを聞いた半兵衛は、ものすごくあつかましい声でよしみに言うた。
「今さらなにいよんぞ!!」
「はぐいたらしいテイシュね!!」
「なんじゃあオドレ!!」
半兵衛夫婦が怒鳴りあいをしていた時であった。
控え室に、式場の男性スタッフさんがあつかましい表情で入ってきた。
「新郎さまのおかあさまにお電話です!!」
スタッフからあつかましく言われたきぬよは、ムッとした表情でフロントへ向かった。
ところ変わって、高地町にある小川にて…
和樹は、岡山理科大学今治キャンパス(加計学園)から北へ1~2キロ先にあるがけ下の場所にいた。
自暴自棄におちいった和樹は、カバンの中から郵便物を地べたにかやした。
(バサバサ…)
「クソッタレ!!郵便局の仕事なんかイヤじゃあ!!郵便局の仕事なんかイヤじゃあ!!郵便局の仕事なんかイヤじゃあ!!」
(カチッ、カチッ、カチッ…ポッ…)
チャッカマン(ライター)を点火した和樹は、地べたにかやした郵便物に火をつけた。
そして、あらかじめ所持していた携行缶に入っているガソリンをホンダカブ(バイク)にまいた。
ベルトにつけているスマホから、きぬよの声が聞こえた。
「もしもし和樹…和樹、聞こえる?…今、どこにいるのよ!?…和樹、一体なにがあったの!?」
頭がサクラン状態におちいった和樹は、心神喪失状態におちいった。
受話器ごしから、きぬよの怒鳴り声が聞こえた。
「和樹!!立岡の家の御両親と替わるから…なにがあったのか話して!!」
電話は、半兵衛に替わった。
半兵衛は、和樹に一体なにがあったのかを聞いた。
「和樹くん、聞こえるか…ワシだ…しほこの父だ…おーい、一体なにがあったのだ…和樹くん…」
和樹は『オレ、逃げるから…アバよ!!』と言うたあと、点火したチャッカマンでカブ(バイク)に火をつけた。
その後、スマホを捨てて近見山へ逃走した。
激しく燃え上がった炎は、小川べりの枯草に燃え移った。
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!)
この時、市内中心部によりし烈なブザーが鳴り響いた。
し烈なブザーは、立花地区にも響きわたった。
ところ変わって、平安閣の館内のフロントにて…
半兵衛は、受話器ごしにいる和樹に呼びかけていた。
「和樹くん!!ワシに話してくれぇ!!職場でイヤなことでもあったのか!?おーい、和樹くん!!」
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!カンカンカンカンカンカン!!ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン!!)
再び、高地町の火災現場にて…
中央消防署から聞こえるし烈なブザーと地区内にあるハンショウの音と消防自動車のサイレンが鳴り響いた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「早く消してくれぇ!!」
「家が燃えてしまう!!早く消してぇ!!」
地区の住民たちが叫び声を逃げ回っていた。
火災現場に、別宮と美須賀と常盤と近見の4校区の消防団の消防車が到着した。
消防団員の人たちは、炎上しているバイクと周辺のかれくさに大量の水を放水した。
その近くに捨てられたスマホの受話器から、半兵衛の叫び声が聞こえた。
「和樹くん!!なんで小さな失敗でクヨクヨするのだ!?…仕事の失敗は仕事で取り返すことができるのだよ!!…ワシの言うことを聞け!!…和樹くん!!」
その中で、消防団員たちが消火活動にホンソウしていた。
またところ変わって、平安閣のフロントにて…
半兵衛は、受話器ごしにいる和樹に呼びかけた。
「和樹くん!!きょうの結婚披露宴はしほこ1人だけ主役で行くと決まったから…和樹くんは残っている郵便物を全部配達しなさい…しほこは、郵便局でがんばって働いている和樹くんが見たいと言うているのだぞ!!」
そこへ、純白のウェディングドレス姿のしほこが式場のスタッフさん数人と一緒にフロントにやって来た。
「和樹くん!!しほこを連れて来たよ!!今からしほこに替わるから…和樹くん!!」
半兵衛は、しほこに受話器を渡す前に和樹を励ましてくれと言うた。
「しほこ…ひと言でいいから『好きよ』と言え!!」
命令されたしほこは『イヤ!!』と言うて拒否した。
よしみは、泣きそうな声でしほこに言うた。
「しほこ!!なんで拒否するのよ!?」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「しほこ!!『好き』と『結婚』は違うのよ!!」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「おとーさんとおかーさんの言うことを聞きなさい!!」
この時、別のスタッフさんがあつかましい声でよしみに言うた。
「お帰りください!!」
別のスタッフさんからあつかましい声で言われた半兵衛夫婦は、ものすごい血相で言うた。
「なんだと!!わしらに帰れだと!?」
「そうよ!!あんまり過ぎるわよ!!」
「他のおうちの人からクレームが来たので、お帰りください!!」
「なんじゃあオドレ!!ワーッ!!」
「なにするんですか!?」
半兵衛は、キセイをあげながら別のスタッフさんをボコボコにどつきまわした。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
しほこは、し烈な叫び声をあげながら館外へ飛び出した。
「しほこ!!しほこ!!」
よしみは、館外へ飛び出したしほこを呼びつづけた。
その間に、しほこは行方不明になった。
「ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!」
心神喪失状態におちいった半兵衛は、キセイをあげながら館内を暴れ回った。
(ガシャーン!!ガシャーン!!)
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
半兵衛は、キセイをあげながら館内の披露宴場で暴れ回った。
その間に、鹿之助夫婦の家族たちはよしみを連れて館外へ出た。
場所は、平安閣から東へ500メートル先にあるJAにて…
鹿之助夫婦の家族たちとよしみは、敷地内にあるスーパーマーケットに逃げ込んだ。
きぬよは、店員さんに助けを求めた。
「助けてください!!平安閣で、立岡のご主人が暴れ回っているの…娘さんが行方不明になったので、困っています。」
店員さんは、すぐに警察署に知らせると言うた。
しかし、よしみは『警察署へ電話する前に、松山で暮らしている長男夫婦に電話して…』と言うた。
店員さんは『分かりました。』と言うた。
よしみからメモ書きを受け取った店員さんは、受話器をあげてダイヤルした。
(プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル…プルルルルルルルルルルルルルルルル…ガチャッ)
電話がつながった。
電話は、小さい子供が出た。
「もしもし…立岡です。」
「もしもし、松山市の立岡さまのお宅でしょうか!?…えーと、JA今治立花のスーパーマーケットの店員でございますが…おじょうちゃん、おかーさんかおとーさんはいるかなぁ~」
ところ変わって、松山市内にあるしほこの兄夫婦重秀(43歳)さとみ(44歳)の家族の家にて…
電話は、末の女の子(年中くらい)がでていた。
「ちょっと待ってください…ママァ…」
場所は、6畳の居間にて…
鏡の前にいるさとみは、まつエク(まつげエクステンション)をしながら爪にマニキュアをそめていた。
「ママァ、電話よ。」
しかし、よしみはめんどくさい声で言うた。
「あとにしてと言うて…」
「すぐに出てって…」
「ママは今、まつエクとマニキュアをしているのよ…あとからかけると言うてちょうだい…」
ところ変わって、スーパーマーケットにて…
この時、非常事態が発生した。
女の子がさとみを呼びに行ってる間に、よしみが突然倒れた。
「しほこさんのおかあさま!!おかあさま!!」
きぬよは、よしみを呼びつづけた。
よしみは、弱々しい声で『しほこ…しほこ…』と言うたあと、身体がコウチョクした。
「しほこさんのおかあさま!!しほこさんのおかあさま!!」
よしみは、持病の狭心症が悪化したことに伴う心不全で急死した。
きぬよは、店員さんから受話器を受け取ったあとよしみが亡くなったことを伝えた。
この時、末の女の子が電話に出た。
「あのねえ、ママねえ、まつエクとマニキュアで離れることができないの…」
「そんなこと言うている場合じゃないわよ!!ママに言うてちょうだい!!…たった今、おばあちゃんが亡くなったわよ!!」
それを聞いた末の女の子は『イヤだ…おばあちゃんが死ぬなんてイヤだ!!』と言うたあと、し烈な叫び声をあげて泣いた。
鏡の前にいるさとみは、キーッと怒りながら髪の毛を両手でかきむしった。
その頃であった。
(ガシャーン!!ガシャーン!!)
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
サクラン状態におちいった半兵衛は、館内の披露宴場で暴れ回っていた。
この時、警察官8人が駆けつけてきた。
サクラン状態におちいった半兵衛は、警察官に向かって突進した。
警察官8人は、突進した半兵衛を押さえつけたあと手錠をかけようとしたが、暴れ出す危険が生じたので、かたいものでシツヨウに殴り付けた。
「もうアカン!!」
「わかった!!」
半兵衛は、警察官8人のリーダーが持っていたサバイバルナイフで首を切られてハイジョされた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
半兵衛の遺体は、ブルーシートに包まれたあと鑑識警察官たちによって運び出された。
しほこは、事件発生から4時間後に土橋町のコインランドリーで付近の住民に発見された。
しかし、両親が亡くなったのでひとりぼっちになった。
同時に、住む家もなくした。
しほこは、警察署に保護されたあと松山市内で暮らしている重秀夫婦に引き取られた。
またところ変わって、高地町の火災現場にて…
火災は、消防団員たちの手によって延焼を食い止めることができた。
郵便物は、すべて灰になった。
配達に使うバイクは、粉々に壊れた。
和樹が捨てたスマホも、粉々に壊れた。
そして、和樹は池の近くにある廃材置き場で焼死体で発見された。
和樹が郵便物を燃やして配達に使う車両を破損させたことと、高地町で放火事件を犯した損害賠償は、再就職するさいにかわした宣誓書に記載されている立岡家の親類の家が負うことになった。
(舟入家が経済的なゆとりがないために、立岡家の親族が損害賠償を引き受けることになった…と言うことである)