彦星さまは会いたくてたまらない
椅子に座り
俺は左手の薬指を見つめた。
キャーキャー俺に近づく
女子高生除けではめている
ニセモノの結婚指輪。
姫野に誤解されたままだな……
俺に結婚間近の女性がいるって……
心がざわつく。
生徒相手に、こんな甘い感情
抱いてはダメなのに……
俺は椅子から立ち上がり
棚の前に進んだ。
姫野たちが作っている、天体図鑑。
取ろうと、手を伸ばした時
ガラガラガラ
いきなり開いたドアに驚き
俺は手を引っ込めた。
「光彦先生、ここにいたんだ。
ハロー!」
この髪がサラサラで
目が見えないほど
前髪が長すぎる男子生徒は……
俺のライバルの一人で……
親友っていうおいしいポジから
彼氏ポジをゲットしそうな……
って。
全部、姫野に結び付けちゃ
ダメだろうが!!