あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
でも……


なぜか、シャッターを切ることはできなかった。


せっかく美しい被写体に向けたカメラを、私は胸の位置までゆっくり下ろした。


そう言えば、今まで目の前で他の女性と慶都さんが話してる姿をあまり見たことがなかった。


不思議だな……


そんな慶都さんを見て思ったんだ。


ちょっとだけ、心の奥がチクチクして痛いって。


何だかザワザワして、変な気分で落ち着かない。


私、まさかヤキモチ妬いてる?


嘘でしょ?


私が慶都さんみたいな素敵な人にヤキモチ妬くなんて、厚かましいにも程があるよ。


彼女でも奥さんでもないのに。


もう、いろんな感情がたくさん混ざり合って、どんどん自分の本当の気持ちがわからなくなる。


子ども達はみんな可愛くて、楽しい夏祭りなのに、どうしてこんな気持ちになるの?


マリエさんの時みたいにまた一喜一憂するの?


ううん、そんなんじゃダメだよ。


保育士として、今日は最後まで笑顔を絶やさずに頑張らなきゃ。
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