あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
私は……


全てを思い出したんだ。


パズルのピースが全部埋まった瞬間、九条さんは言った。


「彩葉、俺達は今日、なるべくして1つになった。俺は君とずっと一緒にいたい」


その言葉は、一瞬で私の胸を狂おしいくらいに熱くした。


私も、一緒にいたい。


九条さんと共に人生を歩みたい。


だけど、その気持ちを決して口にしてはいけないって、ちゃんとわかってる。


理性が戻ってしまった私は、自分のその想いを強く抑え込むしかなかった。


「彩葉、俺は近く仕事で海外に行く。向こうの支社でしばらく勉強するつもりなんだ。いつ帰れるかわからない。だから、俺に着いてきてくれないか? 側にいてほしい」


九条さん……


そんなこと言わないで……


「う、嬉しいです。私にそんな申し出、もったいないくらいです。でも、私達は決して結ばれてはいけないんです。九条さんだってわかってますよね? あなたは……私の妹のお見合い相手なんですから」
< 11 / 235 >

この作品をシェア

pagetop