あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「時々、一堂社長の自宅を訪ねていた頃が懐かしい」


「そうでしたね。お仕事のことで、たまに来て下さって。父も、九条社長と慶都さんが来られる日をとても楽しみにしてましたから」


楽しみにしてたのは……


きっと、一堂社長より、僕の方だったに違いない。


「一堂社長から学ぶことがとても多くて、毎回、勉強させてもらってた。有意義な時間だったよ。それに……」


「それに?」


首を傾げながら俺を見る彩葉。


その純真で可憐な瞳に吸い込まれそうになる。


「君に会えると思うと心が弾んだ」


「えっ……」


「一堂家に行くと、いつも自然に君を探してる自分がいた」


彩葉を見つけると、本当に嬉しくなった。


「そんな……慶都さんは、麗華とばかり話してましたから。私はあまり会話した記憶がありません。もちろん、姉妹ですから、麗華が慶都さんと話していても、私は2人を微笑ましく見ていましたけど……」
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