あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「残念だな、俺はいつだって君と話したかったのに。いつも君は俺から離れて……」


同じ場所にいても、すぐに視界から消えてしまう、それがどんなに寂しかったか。


「麗華と話しているのに、私がお邪魔してはいけないと思ってましたから」


「そんなことを気にしていたんだな……残念だ」


「……」


「あの頃、俺は誰かを好きになることが怖かった……」


「そう言えば、この前もそんなことを話してましたよね?」


「ああ。二度と恋愛ができないと思ってたのは、ある出来事があったからだ」


それは、今まで誰にも言えずにいた悲しい過去。


「26歳の時、俺は九条グループの中で、経営や医学、美容、仕事をする上で必要な知識を得るために様々な勉強をしていた。必死だった。その頃、グループの医薬品開発部の研究室で、2つ下の弟が研究をしていたんだ」


「慶都さん、弟さんがいたんですか!?」
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