あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「さあ、どうぞ」


「すみません、ありがとうございます。いただきます」


「深みのある濃い赤……とても美しい」


ワイングラスのステムを持つ細くて長い指に、何ともいえない色気を感じてしまう。


ワインを眺めるその顔も、この世のものとは思えないくらい麗しくて。


「え、ええ。本当に綺麗な色です」


「君にはきっと、こんな色のドレスが良く似合うだろうな」


「えっ、とんでもない! こんな素敵な赤……私には似合いませんよ。もっとハッキリした顔立ちの美人さんしか……」


そう言った瞬間、頭の中に思わず麗華の顔が浮かんだ。


麗華なら間違いなく着こなすだろう、情熱的な深紅で彩られたドレスを。


「君には何でも似合うよ。でも、こんな魅力的な色のドレスを着れば、周りの男性がほおっておかないだろうから、残念だけど諦めるか」


「けっ、慶都さん。冗談はやめて下さい。私はそんなに良い女じゃ……」
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