あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「お父さんには長生きしてもらわなきゃ困るからね。お母さんもきっとそう願ってるよ」


「そうだな。家族みんな健康で仲良くいられたら、こんなに嬉しいことはない」


「うん、そうだよね」


雪都はこうやってみんなに元気を与えてくれる、みんなを笑顔にできる存在なんだね。


本当に、子どもってすごい。


保育園で、慶都さんが雪都と初めて会った日のことも、私は忘れられない。


そして、慶都さんが雪都に「パパだよ」って告げた日のことも……


目を閉じると鮮明に思い出す。


あの時の慶都さんは、珍しく緊張した面持ちだった。


『保育園の夏祭りで会ったこと、雪都は覚えてるかな?』


慶都さんの問いかけに雪都は、


『うん! 覚えてるよ。ママを大切にしなさいって』


と、元気に答えた。


『覚えててくれてありがとう。すごく嬉しいよ。雪都、よく聞いてくれ。俺は……ずっと君とは離れていたけど、本当は……』
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