あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「無理だよ。彩葉さんやあなたのお母さんとは交われない。お母さんが死んじゃって、あなた達がやってきて、その時から私の人生は変わったの」


「……麗華」


もう、これ以上、何を言えばいいのかわからなくなった。


麗華の言うように、もう交われないの?


家族にはなれないの?


「でも……」


そう言った瞬間、麗華の憎しみに満ちた顔が、ほんの少しだけ緩んだ気がした。


そして、言葉を続けた。


「安心して。あれからいろいろ考えた。私は……日本を出るわ」


「え!?」


「私、海外にいくの。向こうで好きな絵を描いて暮らすわ」


「麗華?」


あまりにも突然の告白に驚いた。


「もう、あなた達がいる日本にはいたくないから。向こうにね、大金持ちの友達がいるの。しばらくは彼の別荘でゆっくり暮らすわ。アトリエもあるのよ。そこで好きなだけ絵を描けばいいって言ってくれてる。素敵でしょ? だから、この家にあなたのお母さんを呼び戻して、みんなで仲良く暮らせばいいわ」
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