あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「麗華……本気なの? モデルの仕事は?」


「モデルなんて、もう何だか飽きちゃった。今は向こうで絵の勉強がしたいの。ずっと思ってたことよ。itidou化粧品はお父様の弟が継ぐんだし、お父様も賛成してくれるはずだわ。私は、自分の道を見つける。だから何も心配しないで。これからは家族みんなで仲良くして。彩葉さんも、慶都さんと幸せになればいいのよ」


「麗華……」


「もうあれこれ言うのは疲れたわ。好きにしてちょうだい。これでみんな幸せになれるなら……それでいいから」


その目、今の言葉は意地悪じゃないんだよね?


麗華の本当の気持ちなんだよね?


私に突っかかった言葉、あれは、麗華の胸のつかえを全部吐き出してしまいたかっただけなんだよね?


本当は……優しい子。


ちゃんと知ってたよ。


どうしようもなくキツくて苦しくて、夜中、お母さんを思ってずっと泣いてたこともあったよね。


お父さんに甘えたくても、忙しいからって我慢したり、夢中で好きな絵を描いてる時の顔がすごくキラキラしてたり、私のことは……嫌いといいながら名前で呼んでくれたり。


いっぱい……わかってた。
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