あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
だから、何を言われても嫌いになれなかったんだ。


これからはもう、あなたが望む人生を、あなたが思うように生きてほしい。


私はただ、それを全力で応援したいって……心から思ってるよ。


今日はここに来て良かった。


2人で話すことができて、何だかホッとした。


私は父に声をかけ、リビングに雪都と一緒に戻ってきてもらった。


麗華は自分の思いを、もう1度話した。


しばらく考えていたけど、


「麗華の描く絵、私は好きだったよ。お前と離れるのは寂しいが、いつでも帰ってきなさい。麗華の家はここだ。誰にも遠慮することはない。お父さんは、麗華のことを愛している。何があってもお前の味方だから、それだけは……忘れないでくれ」


そう言って、父は麗華を抱きしめた。


「わがまま言ってごめんなさい……」


「何を言うんだ。わがままなんかじゃない。お前の輝かしい未来のためじゃないか」


麗華も父の体にしがみつき、ボロボロ涙を流して子どもみたいに泣いた。


「お父様ありがとう。私、いっぱい絵を描いて、いっぱい勉強して……そして、またいつか、ここに必ず帰ってくるから」


「ああ、いつでも待ってるよ。応援してる」


ギュッと力を込めて父から離れない麗華。


大好きなんだよね、昔からお父さんのこと。


「ねえママ……お姉ちゃん、どうして泣いてるの?」
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