あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
愛おしく、狂おしく、愛を囁く
10月の終わりを迎え、周りの景色はすっかり秋めいていた。


涼しくて気持ちの良い風が吹き抜け、頬を優しく撫でていく。


ホカホカ温かい物が恋しくなる、そんな季節。


慶都さんと私は……いよいよ夫婦になる。


振り返ると、あっという間だった気がする。


本当に今日まであれこれ大変だったけど、主婦の真似事をしながら、仕事、家事、育児にと、何とか自分なりに頑張ってきた。


そして、結婚式を目前に控え、先日、後ろ髪を引かれる思いで保育士としての仕事からは一旦離れた。


子ども達、先生達とのお別れ、大好きな仕事を退くことはとても寂しかった。


でも、慶都さんは、そんな私の気持ちを1番に考え、仕事で疲れてるはずなのに、いつも優しく精一杯守ってくれて……


そのおかげで私は毎日笑顔でいられたんだ。


すぐ側で笑っててくれるだけで、本当にそれだけで嬉しかった。
< 198 / 235 >

この作品をシェア

pagetop