あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
雪都にはパパのことは詳しく話していない。


ただ……


亡くなってしまったとか、離婚したとか、そんな風には言えなくて。


理由があって別々に暮らしてる……そう伝えてる。


今はパパのことをあまり聞いてこないけど、いつかは九条さんのことを話さないといけないのか……


その時はどういう風に話せばいいのか……


それとも九条さんのことは雪都にも一生秘密にするべきなのか……


子どもの立場に立てば、どうするのが正解なのか?


そんなことを日々悩みながら、今はただ、この子の成長を見守り、好きな仕事をしながら親子2人で頑張って生きていきたい、一瞬一瞬の幸せを噛み締めたい、そんな思いでいっぱいだった。


「ママ、これ美味しい! ママのお弁当大好き」


「ありがとう~嬉しいなぁ。ママ、雪都に褒められちゃった」


「よしよし」


そう言って、小さな手のひらで私の頭を撫でてくれるその仕草が、何ともいえず愛おしかった。
< 31 / 235 >

この作品をシェア

pagetop