あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「彩葉……やっと会えた」


間違いない、この人は私がずっと想い続けている九条さん。


そして、九条さんが言ったその一言は、この世の中で1番短く、1番美しく、1番嬉しい「詩」(うた)のようだった。


私の全身は嘘みたいに熱くなって、鼓動がさらに激しく脈打った。


立っていることがやっとなくらいで、傘を持つ手は九条さんに会った瞬間からずっと震えてる。


「どうして……? なぜここに?」


絞り出すように疑問をぶつけた。


「君に会いたかったから」


「えっ……」


「真斗を迎えに行った時、奥の方にいたのは彩葉だってすぐにわかった。だから……会いにきた」


「そんな……」


気付くはずないって思ってたのに。


それに「会いにきた」なんて……


私なんかにわざわざ会いにきてくれたっていうの?


私のこと、この3年間、ずっと忘れずにいてくれたの?


「雨に濡れたら風邪を引く。車で送るよ」


九条さん……


その優しいセリフにキュンとなる。
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