あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
その悩ましい顔でさえも美しく、この人には360度どこから見られても欠点は無いんだろう。


さっきからオシャレな雰囲気の若い女性達がチラチラこちらを見てるけど、九条さんは全く気にしていないようで。


きっとどこにいてもこれが当たり前の日常なんだろうな。


その時、向こうのテーブルで店員の男性が困っているのを見て、九条さんは私に一言断ってから、スっと立ち上がり近づいていった。


「大丈夫ですか?」


「すみません、お客様が何語を話してるのかわからなくて」


身振りを交えてメニュー表で何かを説明しようとしている年配の……たぶんご夫婦。


色白でブロンドの髪、ブルーの瞳が美しい奥様と、体型がガッチリとした黒髪で褐色肌の旦那様。


もしかしてご旅行なのか……


九条さんは、その2人にニコニコ微笑みながらフランクに話しかけた。


これは……フランス語?


3人でのあまりにも流暢な会話に、思わずここはフランスなのかと錯覚しそうになる。
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