あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「この方達は、温かいコーヒーが欲しいと。それに、こちらの方はミックスサンドをご注文で、こちらの方はホットドッグをマスタード抜きでと仰っています」


「そうなんですか、ありがとうございます! 本当に助かりました」


店員さんは何度もお礼を言って戻った。


「すまない。待たせてしまって」


「いえ、フランス語……お上手ですね」


「上手という程ではない。独学だからね」


ど、独学であそこまで?


英語とドイツ語も話せるらしいから、本当に優秀としか言いようがない。


英語もろくに分からない自分が恥ずかしいよ。


優れた才能を鼻にかけない自然体の九条さんに、さっきの女性達はさらに釘付けになっている。


こんなとんでもないハイスペック男子、他にはなかなかいないもん、つい見てしまう気持ちは良くわかる。


「とにかく……また、彩葉に会えて良かった」
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