あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「わざわざ来て下さって……ありがとうございます。とても驚きましたけど、お会いできたことは嬉しく思います。九条さんにはもう……永遠に会えないと思ってましたから」


そう、二度と会ってはいけないと思ってた。


なのに……


まだ夢を見てるみたいで……


「永遠に? 俺はずっと彩葉に会いたかったのに?」


ゆっくりと囁く甘いセリフに胸が締め付けられる。


たまらなくドキドキして怖くなる。


「九条さん、私は……」


それ以上何も言えなかった。


ずっと隠してきた想いを、今さら吐き出すことはできない。


「彩葉、すまない」


「え? どうして謝るんですか?」


「一堂社長に聞いた、君には子どもがいるって。そして、保育士として働きながらその子を育てていると」


雪都の父親が誰だか知らない父の思いを考えると、何だかすごく複雑な気持ちになった。
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