あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「なのに……君には別の人が。もし、本当に彩葉が幸せなら、俺は君に会わずに想いを閉じ込め、仕事に邁進するしかないと思った。でも、やっぱり、どうしてもひとすじの希望は捨てきれなかった」


「ひとすじの希望?」


「ああ。彩葉には本当に申し訳ないが、こちらで調べさせてもらった。もし、その希望があるなら、絶対に君を諦めたくなかったから」


驚いたけど、その言葉には九条さんの強い意志を感じた。


「彩葉、君は……1人で子どもを産んで、1人で育てているんだね」


「そ、それは……」


勝手に心拍数がどんどん上がっていく。


「彩葉が誰かと結婚したわけじゃないと知って、俺は心を決めた。だから今日、君に会いにきたんだ。俺の気持ちを今度こそちゃんと伝えたくて」


九条さんの気持ち?


私、ずっと冷静になれないままで、まだ全然心の準備とかできてないんだよ。


九条さん、いったい何を言うつもりなの?
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