あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「……ごめんなさい」


「どうして謝る? 彩葉は何も悪くない。君が謝ることは何もない」


「私……今、何を答えたらいいのか……」


せっかく九条さんが話しやすい雰囲気にしてくれたのに、上手く言葉が出てこない。


「そんなに涙を溜めて……俺は君をずっと苦しめていたんだな」


九条さんは、自分を責めるように言った。


こんな素敵な人の悲しむ顔を見るのはすごくつらい。


「そんな……苦しめるなんて、そんなことありません。決してそんなことはないんです。だって、私は……ずっと幸せでしたから」


その気持ちは嘘じゃない。


私は雪都といられて、毎日本当に「幸せ」だった。


「彩葉。君は出産という大事な時に、俺に何も言えないままで、たくさんつらい思いをしただろう。なのに君は俺を責めるどころか、立派に子どもを産み、育て、守ってくれた」
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