あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
「俺はずっと長い間、誰も好きになれなかった。恋愛ができなかったという方が正しいのか。なのに、こんなにも誰かを想えるようになれたのは彩葉のおかげだから」


「恋愛が……できなかった?」


「ああ。でも、今はこうして君を……」


恋愛できない……それにはきっと何か深い理由があるに違いないと思った。


もちろん、それがどういうことなのか聞く勇気なんてないけど。


「九条さんが私を想ってくれてるなんて、正直、まだ信じられないです」


「信じてもらわないと困る。これは紛れもない真実なんだから。そうだ、名前聞いていいか?」


「え?」


「俺達の子どもの名前」


俺達……


雪都は、九条さんと私の子ども。


改めてそう言われると、さらにそのことを実感できた。


いいのかな、私、どんどん九条さんのペースに乗せられてる気がする。


「ゆ、雪都……っていいます」


「雪都か。すごく良い名前だ」
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