憑かれた僕が彼女を助けるまでの備忘録
スマホを持ったまま、しばらくその場所から動けずにいると不意に誰かから声をかけられた。涼やかで可愛らしい女子のそれだ。
「あ、はい」
躊躇いがちに答えながら僕はその女子を見た。あっと息をのんだ。
その子とは初対面に違いないのに、確実に見覚えがあるのだ。
黒髪を耳下数センチできりそろえた小顔の女子で、ぱっちりとした丸い黒目とアーチ型の前髪が可愛らしい。背は僕と同じぐらいで、158とか160とかそのぐらいだ。
手にはリードを握り、その先は白い小型犬のハーネスに繋がっている。散歩の途中なのだろう。潤んだ瞳が愛らしいチワワだ。
三島彩羽にそっくりな女子を見て、僕はわずかに表情をかためた。
「あの?」と眉をひそめ、彼女は困ったように首を傾げる。
突然、手の中でスマホが振動した。すみません、と断りを入れてスマホをひらくと、目の前の女子は会釈を残して立ち去った。
液晶画面に映る彩羽は、いつになく蒼白な顔をして文字を並べた。
『今の、"私"。"私本人"だよ』
「あ、はい」
躊躇いがちに答えながら僕はその女子を見た。あっと息をのんだ。
その子とは初対面に違いないのに、確実に見覚えがあるのだ。
黒髪を耳下数センチできりそろえた小顔の女子で、ぱっちりとした丸い黒目とアーチ型の前髪が可愛らしい。背は僕と同じぐらいで、158とか160とかそのぐらいだ。
手にはリードを握り、その先は白い小型犬のハーネスに繋がっている。散歩の途中なのだろう。潤んだ瞳が愛らしいチワワだ。
三島彩羽にそっくりな女子を見て、僕はわずかに表情をかためた。
「あの?」と眉をひそめ、彼女は困ったように首を傾げる。
突然、手の中でスマホが振動した。すみません、と断りを入れてスマホをひらくと、目の前の女子は会釈を残して立ち去った。
液晶画面に映る彩羽は、いつになく蒼白な顔をして文字を並べた。
『今の、"私"。"私本人"だよ』