憑かれた僕が彼女を助けるまでの備忘録
もともと彼女が死んだ未来があって、あの事故を分岐点として時間軸が二つに枝分かれを起こしたとしたら?
彼女が死んだ世界と、彼女が生きている世界が平行に並んで存続していく――そんな平行世界、いわゆるパラレルワールドが創られたとしたら?
未来から来たはずの彩羽の魂は、事故を境にこっちがわの世界にとどまる結果となり、生者のイロハに吸い込まれ、一体化したのではないのか……?
「そんなばかな……」
数日間のあいだとはいえ、情の湧いた彼女と一緒にいるのが当たり前になっていた。
だからだろう。別れの言葉をいっさい交わさずに消えてしまったものだから、寂しい、という感情が残るのだ。
だから一ヶ月たった今でも、霊魂の彼女はいったいどこから来たのか、という不毛な問いかけを繰り返してしまう。
「急に消えるなよな、彩羽のばか」
僕はゲームアイコンが数個並んだ新しいスマホを見つめて、独りごちた。
彼女が死んだ世界と、彼女が生きている世界が平行に並んで存続していく――そんな平行世界、いわゆるパラレルワールドが創られたとしたら?
未来から来たはずの彩羽の魂は、事故を境にこっちがわの世界にとどまる結果となり、生者のイロハに吸い込まれ、一体化したのではないのか……?
「そんなばかな……」
数日間のあいだとはいえ、情の湧いた彼女と一緒にいるのが当たり前になっていた。
だからだろう。別れの言葉をいっさい交わさずに消えてしまったものだから、寂しい、という感情が残るのだ。
だから一ヶ月たった今でも、霊魂の彼女はいったいどこから来たのか、という不毛な問いかけを繰り返してしまう。
「急に消えるなよな、彩羽のばか」
僕はゲームアイコンが数個並んだ新しいスマホを見つめて、独りごちた。