憑かれた僕が彼女を助けるまでの備忘録
「ところで。彩羽さんが幽霊だったころ。僕に取り憑いて離れられなくなった、という話は本当だったんですか?」
電気系統に干渉できると言っていた彩羽は、まず僕のスマホを占拠し、故障して止まってしまったエレベーターを動かし、ついには走ってくる自動車の機械系統にも影響を及ぼした。
霊体がどんな形で存在するのかは分からないが、僕に憑いていながら他に影響を及ぼすというのは、なんとも都合が良く、不自然な話だ。
だから、敢えて僕はこう考えた。
彩羽は自分の意思で僕に取り憑き、僕と一緒に成仏の方法を探していたのではないか、と。
急に彩羽がにたりと口元をゆるめた。どこか訳あり顔で、ようやく気づいたか、とでも言いたげに僕を見る。
「それはアレだね。生者にもすがる思いでついた嘘かもしれないね、幽霊ジョーク」
「笑えないです」
やはり僕の勘は当たっていた。くそ、なんて彩羽だ。
〈了〉
電気系統に干渉できると言っていた彩羽は、まず僕のスマホを占拠し、故障して止まってしまったエレベーターを動かし、ついには走ってくる自動車の機械系統にも影響を及ぼした。
霊体がどんな形で存在するのかは分からないが、僕に憑いていながら他に影響を及ぼすというのは、なんとも都合が良く、不自然な話だ。
だから、敢えて僕はこう考えた。
彩羽は自分の意思で僕に取り憑き、僕と一緒に成仏の方法を探していたのではないか、と。
急に彩羽がにたりと口元をゆるめた。どこか訳あり顔で、ようやく気づいたか、とでも言いたげに僕を見る。
「それはアレだね。生者にもすがる思いでついた嘘かもしれないね、幽霊ジョーク」
「笑えないです」
やはり僕の勘は当たっていた。くそ、なんて彩羽だ。
〈了〉