憑かれた僕が彼女を助けるまでの備忘録
幽霊女子あらわる
はじめに違和感を覚えたのは、夜、お風呂からあがったあとのことだ。
ベッドに寝転び、スマホのアプリをタップする。今日のログインボーナスをゲットしようとしたとき、ふいにスマホの電源が落ちた。
「げ」
声とともに自分の体が硬直しているのがわかった。
必然的に真っ暗になったディスプレイをのぞきこむはめになったのだが、僕はそこにありもしない女の顔を見て、息をのんだ。つま先から背中にかけて弱い電流を流されたようだ。
見間違いや目の錯覚を疑い、ひとまずは落ち着こうと思った。両手で目を擦り、再度スマホを持ち上げる。
さっきと同様に、僕の視界に映るのは悲しそうな顔で僕を見る女の顔だ。ちょうど僕の左肩あたりに浮いている。
「っうわわわわ!?」
あまりの恐ろしさに、僕はスマホを取り落とし、自身の左肩を手ではらった。当然、意味は為さない。
突如として真っ暗だったスマホに電源が入り、画面が真っ白に光った。
『やっと気づいてくれた』
触ってもいない画面に忽然と文字が浮かびあがる。ぞぞぞ、とさらに肝を冷やした。心霊現象というやつだろうか。じわりと脂汗まで浮かぶ。