憑かれた僕が彼女を助けるまでの備忘録
 実際、楽しさなどみじんも感じていなかったけど、僕は棒読みでイエスをだした。

 ところでなぜ幽霊に憑かれているんだ?

 ようやく正常な考えに思いいたり、原因はあれしかないと気がつく。

 放課後におこなった“こっくりさん”だ。僕がうっかり十円玉から指を離してしまったから、こうなったのだ。

『それで本題なんだけど。今日きみたちがやった“こっくりさん”の影響でなぜかきみから離れられなくなったの。どうしようか?』

「え」

 どうしようか、って。

『私、幽霊になって多分まもないと思うんだけど。急に掃除機で吸われるみたいに引き寄せられて、気づいたらきみたちのいる教室を見下ろしてたの。それまで見ていた街並みがぐにゃっと歪んで、瞬間的にワープしたみたいな感覚だったわ』

 次々と浮かび上がる彼女の言葉を目で追って、僕はある意味感心していた。十円玉とあんな紙一枚にそんな力があったとは。

『“こっくりさん”の最後にも言ったけど、私を助けて欲しいの』

「た、助けって」

『私を成仏させてくれないかな? そうしたら、私もきみから離れられると思うし』

「いやでも、具体的になにをすればいいのかわからないし。それに……」

 正直、めんどくさい。
< 8 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop