雨上がり、また想いだせるように。



「そんなわけ……」


「白い霧」


「え?」


「白い霧で囲まれた夢の中で男の人に会った?」



胸が大きくドキリと鳴る。どうしてこの人は私がみた夢を知っているのだろう……?今、私がここに居ることとあの男の人が関係しているのなら。



「……もしかして、私がこの世界に居るのは、男の人に願ったことが関係してますか……?」


「なんて願った?」



夢の世界に私が居る理由と”ここが夢の世界である”という事実がどんどん強くなっていく。



「ここじゃない世界って」



彼は自分が来ていたカーディガンを濡れることなんて全く気にせず肩にかけてくれる。



「君の願いは叶ったんだよ。ここは、あの世界とは違う。ついて来て」


< 15 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop