雨上がり、また想いだせるように。
「そんなわけ……」
「白い霧」
「え?」
「白い霧で囲まれた夢の中で男の人に会った?」
胸が大きくドキリと鳴る。どうしてこの人は私がみた夢を知っているのだろう……?今、私がここに居ることとあの男の人が関係しているのなら。
「……もしかして、私がこの世界に居るのは、男の人に願ったことが関係してますか……?」
「なんて願った?」
夢の世界に私が居る理由と”ここが夢の世界である”という事実がどんどん強くなっていく。
「ここじゃない世界って」
彼は自分が来ていたカーディガンを濡れることなんて全く気にせず肩にかけてくれる。
「君の願いは叶ったんだよ。ここは、あの世界とは違う。ついて来て」