雨上がり、また想いだせるように。
「なんか、同じ天気に関係する名前だから親近感わくな」
「そうですね。あんまり近くに居ないから」
そう、私の周りには居ない。一人を除いて。
「雨は高校生?なんとなくだけど、僕と同い年な気がする」
「高校二年生です」
「じゃあ、僕と同い年だ」
虹空くんが同じ年だということに驚いた。
初めて会った時から今に至るまで私よりも落ち着いていたから、大学生くらいだと思っていた。
「あ、あと敬語じゃなくていよ。そっちの方が話しやすいでしょ」
「わ、分かった」
虹空くんは、自分の目の前にあるコップに手を伸ばす。そして、中に入っている飲み物をすすり、姿勢を直した。
「じゃあ、そろそろ”夢の世界”について話すね」
「うん。よろしく」
私も姿勢を直し、緊張で唾をごくりと飲み込む。
「ここは雨と僕が元々居た世界とは全く違う世界。ここに居る間、あっちの世界の時間は進まない」
「……つまり、ここでいくら時間が過ぎてもあっちの世界では一秒も進まないということ?」
「うん。その通り」
改めて不思議な世界だなと思った。あっちの世界の時間は進んでいないのに、こっちの時間はどんどん進んでいるなんて。
「ここの世界から出ることって出来るの?」