雨上がり、また想いだせるように。
私は“朝限定 パン定食”を。虹空くんは“鮭定食”と書かれているボタンを押し、食堂の厨房に立っている人に渡す。
「虹空!久しぶりだな。元気にしてたか〜?」
私達が食券を渡したおじさんが虹空くんの肩をバシバシと叩く。
「僕は元気ですけど、前野さんはあれから大丈夫でしたか?」
「ばっちし、ばっちし!」
どうやら、おじさんと虹空くんは知り合いのよう……。
「ところで……」
おじさんの視線が虹空くんから私に移る。
「見たことない顔だけど、隣の子は最近、来た子?」
「そうです。昨日この世界に来た“雨”です。雨、紹介するね。この人は前野安里(まえのあさと)さん」
「は、はじめまして。叶山雨と言います。これからよろしくお願いします」
前野さんに向かって頭を軽く下げる。
第一印象は三秒で決まると言うけれど、変に思われてないといいな。