雨上がり、また想いだせるように。



私は“朝限定 パン定食”を。虹空くんは“鮭定食”と書かれているボタンを押し、食堂の厨房に立っている人に渡す。



「虹空!久しぶりだな。元気にしてたか〜?」



私達が食券を渡したおじさんが虹空くんの肩をバシバシと叩く。



「僕は元気ですけど、前野さんはあれから大丈夫でしたか?」


「ばっちし、ばっちし!」



どうやら、おじさんと虹空くんは知り合いのよう……。



「ところで……」



おじさんの視線が虹空くんから私に移る。



「見たことない顔だけど、隣の子は最近、来た子?」


「そうです。昨日この世界に来た“雨”です。雨、紹介するね。この人は前野安里(まえのあさと)さん」


「は、はじめまして。叶山雨と言います。これからよろしくお願いします」



前野さんに向かって頭を軽く下げる。


第一印象は三秒で決まると言うけれど、変に思われてないといいな。


< 23 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop