雨上がり、また想いだせるように。
「雨ちゃん、よろしく!雨ちゃん、若そうだけど高校生?」
「そうです」
「おぉ!やっぱりか!若いっていいよな〜。俺が高校生ならら、イケメンでぎっくり腰になんてそうそうならないってのに」
勢いよく喋る前野さん。彼の笑顔、話すときの身振り手振りなどで友好的で関わりやすい人だということを感じる。
「前野さんはここの食堂の店主で一週間前にぎっくり腰になっちゃって大変なことになったんだ」
前野さんの会話に虹空くんが説明を付け足してくれる。
「虹空!それは秘密だろ?!初めて会ったんだから雨ちゃんにかっこいいところ見せたいのに……」
再び虹空くんの肩をバシバシ叩いている。
すると、「料理できたよー!パン定食と鮭定食」という女の人の声が聞こえた。
「それじゃあ、また」
「失礼します」
「おう!また来いよ」
前野さんから別れて、私達は受け取り口からそれぞれの料理を受け取った。そして空いている席に着いた。
私が頼んだ”朝限定 パン定食”は一枚のトーストに目玉焼き、キャベツやレタスなどが乗ったプレートにオレンジジュースがついている。
トーストからは香ばしい香りが近づいていないにも関わらず、匂っていて今にもよだれが垂れてきそうだ。
虹空くんの”鮭定食”も盛り付けられた鮭がキラキラと光り輝いて、おいしそう。
「じゃあ食べようか」
二人、手を合わせる。
「「いただきます」」
まず、トーストを持ち上げひとかじりする。
外はパリッと中はふわっとしていて、想像通りおいしい。