雨上がり、また想いだせるように。




海に着くとそこにはゴミ一つないサラサラの砂浜が広がっていた。



「雨!早く!」



普段の虹空くんからは想像できない程の大声を出してはしゃいでいる。



「うん!」



私も大声でそれにこたえ、海のある方へ走り出していく。


靴を脱ぎ捨て、勢いよく海の中へ足を沈める。



「気持ちい〜〜!」



波が足にぶつかったり、離れたり、波に逆らって歩くのは一苦労だ。


でも、それ以上に解放的な空間とひんやりとした海の冷たさに『気持ちいい』という言葉が口から止まらない。



「雨!」



そう虹空くんに呼ばれて海から視線を移すと、水をかけられた。


そっちがその気なら……、私も水をかける。



「冷たー!」


「雨!ほら!」



水を払っている内にどんどん水をかけられる。


水をかけたり、かけられたり、水が飛沫を上げるたびに体は冷たくなっていくが私の心は温かくなっていくようだ。



「虹空くん!」


「へ、うわっ!」



こんなに楽しいのはいつぶりだろう。


私は友達、クラスメート、お姉ちゃんを元の世界ではいつも羨んで、妬んでいた。そして、初めから距離を置いていた。


だって、それはみんな私のことを『出来損ない』だと思っていると信じ込んでいたから。


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