雨上がり、また想いだせるように。
誰しも、笑いすぎて口角が痛くなるという体験をしたことがあると思う。
私は特に笑いすぎるということは最近なかったけれど、何故かずっと口角が痛かった。きっと、それは無意識のうちに自分を守って、面白くなくても、悲しくても笑っていたからだろう。
虹空くんにはお見通しなんだ。
「あっちの世界で何があったかは知らないけど、僕の前では今みたいに笑ってよ。雨にはきっと、いや絶対に、これから楽しい人生が待ってるんだから」
「それはお互い様でしょ!」
勢いよく虹空くんに水をかける。
すると、虹空くんからかけられていないにもか変わらず腕に小さなしずくが落ちてきた。
しかも、それは衰えることを知らない。
私と虹空くんは目を合わせて空を見上げた。
「天気雨だ……」
空は青空できらきらと輝いている。なのに、空からは小さな一つ一つの雨粒が落ちてきていた。
雨が降ってくるにも、かかわらず、きらきらと光っている太陽が眩しくて目をつぶる。
顔に雨粒が落ちてくのも今ならなんだか、気持ちいい。
ふと、虹空くんのことが気になって横を見る。虹空くんも目をつぶっていた。そして、私の視線に気づいたのかこちらの方を見る。