雨上がり、また想いだせるように。
だから、彼に私と同じような何かがあれば私が救われたように救いたいし、寄り添いたい。
あの、触れてしまえば壊れそうな背中が頭に浮かぶ。
「なら、良かった……あ……」
黒い服の人には似合わない、言葉のつまり。
何かを私に伝えようとしているのに、きっと上手く言葉が口から出ないのだろう。
「……あ、もうこんな時間。行かないと」
「行くってどこに?」
「じゃあね、雨」
それっきり、頭上から声は聞こえなくなった。
黒い服の人が私に何を伝えようとしていたのか、何を言いかけていたのか、一体、何者なのか……。聞き出すことは出来なかった。
私は足を進めて、夢の中を歩く。
夢の中には色々なものがあった。初めてみた時にもあった花や木。よく見てみると、公園のような場所に生えている。
そこは、普通の公園となんの変哲もない公園。だけど、ベンチの上に品種は分からないけど、赤と青の
花が入ったひび割れた花瓶が置いてあった。
ベンチを超え、どんどん奥へ奥へと足を踏む入れていく。
一歩を踏み出したとき、足元にトンッという音がして、私は視線を前から足元に移す。