雨上がり、また想いだせるように。
足元には、白い箱が置いてある。その箱には沢山の傷がついており、部分的に色が抜け、元の箱の色の茶色が見えている部分もある。
私はその箱を取り、中を開けた。
その瞬間、強い耳鳴りと頭痛。そして、眩しすぎる光に包まれた。
恐る恐る目を開けると、そこには小学生くらいの薄茶色の髪の毛の男の子。そして、きっとお母さんとお父さんなのだろう。三人、リビングでご飯を食べながら談笑している。
私は自分の手を見る。形や大きさは変わらないのに、腕や身体が少し、透けている。きっと、あの三人から私の姿は見えない。
男の子に近づいて頭を撫でようとしてみる。でも、やはり触れることは出来ない。
『こーくん、お誕生日おめでとう』
『おめでとうー!』
パンッパンッとクラッカーが二発、鳴らされ、お母さんが冷蔵庫からケーキを。お父さんが白く塗られた、立方体の木箱を手渡す。
『ありがとう』
男の子は二人に、ニコッと愛くるしい笑顔を見せ、木箱を開ける。木箱の中には男の子が好きなのであろう、戦隊もののアニメのDVD。沢山のお菓子が入っていた。