雨上がり、また想いだせるように。
リビングにかけてあるカレンダーを見る。そこには、五月十四日のところに大きな丸がつけられており、『母の日』と書かれていた。
あぁ、母の日だから、男の子はプレゼントを渡していたんだ。
改めて、男の子を見る。
身長が随分、高くなっており、顔も赤ちゃんのようなあどけない表情からまだ、幼い要素はあるものの、大人っぽい表情へとなっていた。
でも、まだ中学生にはなっていないようでランドセルが置いてある。
そして、私は男の子に謎の違和感を覚えていた。
そう、誰かに似ているのだ。
改めて、男の子を観察してみる。
茶色の髪の毛は、まるで、ミルクティーのよう………
『……大丈夫?』、私が初めて夢の世界に来たとき。そう言って手を差し伸べる彼を思い出す。
この男の子は虹空くん。虹空くんの小さい頃なんだ。
『毎年、母の日はみんなで集まって、ママの好きなケーキをみんなで食べるのが楽しみなのに……』
『はぁ……』、虹空くんのお母さんがため息をつく。そして、誰も居ない椅子を見つめる。