雨上がり、また想いだせるように。
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「晴はえらいわね〜」
小さい頃から、お父さんやお母さんに頭を撫でてもらっていたのはいつもお姉ちゃんだった。
私には“晴”というお姉ちゃんがいる。
お姉ちゃんは、勉強も出来て、運動も出来て、可愛くて、いつも色んな人に囲まれていて、そんなお姉ちゃんをいつも私は恨んでいた。
だって、全てが真逆だから。
勉強も運動も出来ない、かといって可愛いわけでもないし友達が沢山いるわけでもない。
お姉ちゃんと私は持っているものが違う、始めから。
私が可愛かったら、勉強、運動ができたら、友達が沢山いたら。どれだけ今と違う生活を送れていたか。こんな惨めな気持ちにならなかったか。
醜い感情が胸の中いっぱいを支配した。
そして、いつからか私はお姉ちゃんに対して冷たい態度を取るようになっていた。
小学三年生、お母さんとお姉ちゃんと一緒に行った、陶芸教室。
お姉ちゃんは、花模様のついたコップ。私は星の模様がついたコップを作ることになった。
同じ材料、同じ道具で作ったのにもかかわらず、綺麗な形のコップが出来ているお姉ちゃんに対してぐちゃぐちゃに曲がっている私のコップ。
「ねぇねぇ、雨見て」
悪気のない無邪気な笑顔でコップを見せてくるお姉ちゃん。
顔を見る限り、悪気がないのが一瞬で分かるのに当時の私は、嫌味に思えてお姉ちゃんの作ったコップをぐちゃぐちゃに潰した。
泣き叫ぶお姉ちゃん。
私はふんっと鼻を鳴らす。お姉ちゃんは恵まれているのだから、こんなことされて当然と思った。