雨上がり、また想いだせるように。
『……パパ、前までは絶対にこういう日、帰ってきてくれたのに。最近は残業、出張って……。家族のことはどうでもいいのかしら』
すねてるように口をとがらすお母さんに対して、虹空くんはお母さんの肩をトントンっと叩く。
『仕事で忙しいんだから、しょうがないよ。二人でケーキ食べよ』
子供の笑顔は凄い。一瞬にして、お母さんは機嫌、笑顔を取り戻した。
『そうね、食べよっか!』
二人の姿がぼやける。
『ねぇ、どう……!!こ……て!!』
突然の怒鳴り超えに心臓がどくんっと鳴る。
目の前には制服を着た虹空くんがいて、勉強をしているようだった。
見たことのない部屋。ここはきっと虹空くんの部屋なのだろう。
中学生になった虹空くんもその怒鳴り声に驚いたよ うで、勉強をするのを止め、部屋から出ていく。
私はそのあとを追う。
階段をおりきった時、パリンっという音が鳴った。まるで、何かを床に叩きつけたような音。