雨上がり、また想いだせるように。
『それに、不倫だけじゃない!!どうして、こんなにお金が引き出されてるの?!』
通帳をあえて、大きな音を立て、机の上に置く、お母さん。
『なんか答えたらどうなの?!今さっきからずっと、ずーっと、黙ってないで。弁解でもしたらどう!!出来るものなら!!』
『……それは、本当にすまないと思ってる』
お父さんは、下を向いたまま、喧嘩が始まって初めて声を出した。
『何に使ったの?!』
『欲しい物があっ
『嘘でしょ!!ほんとは不倫相手のホテル代に使ったんじゃないの?!』
お母さんが突き詰めると、図星だったようでお父さんは口を閉じる。
『はぁ……。もういい。離婚よ離婚!』
お母さんは軽蔑するような目でお父さんを上から見下ろす。
すると、お父さんはお母さんにすがりついた。
『本当に本当に、悪いと思ってるんだ!!不倫相手のことなんて、どうでもいいんだ。俺はお前とこーくんだけを愛してる』
その言葉でお母さんの怒りは最高潮に達した。
テーブルに置いてあった、コップをすべてガシャンガシャンと床に叩きつけて割っていく。
棚にある、小物もすべて投げ捨てられる。
その中には、虹空くんが小さい頃もらった誕生日プレゼントの白い木箱が含まれていた。
虹空くんを見ると下をうつむいていて、床には小さな涙の水たまりができている。