雨上がり、また想いだせるように。


ハンバーグをお皿に入れ、器用にサラダを盛り付けていく。


そんな虹空くんを横目で見ながら、私は棚の上に飾られた写真立てをながめていた。


お父さんの写真は一枚もなかったけれど、公園にレジャーシートをしいて寝転び、二人で撮った写真、誕生日を祝った写真、体育祭の写真など、全てが写真越しでも伝わってくるくらい、幸せでいっぱいだった。


二人の幸せが何だか私にとって嬉しくて頬が緩んでしまう。



『ママー!準備できたよ!』



その声を聞いたお母さんが部屋へ戻ってくる。



『こーくん、いつもありがとう』



あ母さんが座り、虹空くんも座る。そして、二人で手を合わせて『いただきます』と言い、ハンバーグを口に運ぶ。


『おいしいね』と笑い合う時間はどの物にも変えられないくらい大切な時間だ。


たとえ離婚して、生活が苦しくなっても二人はきっと幸せなんだと思う。


二人の姿がぼやけ、見えなくなる。



『こーくん、紹介するわね。この人はママの恋人の浅海(あさみ)さん』



お母さんが目の前にうつり、私は虹空くんの姿を探す。


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