黒幌に呑み込まれる
「麦倉先輩、帰りましょ?」

「あ、黒部くん。ごめんね。
残業になっちゃって…」
「は?なんでですか?
ちゃんと、終わらしてたじゃないですか!?」

「あ、それが……
久我先輩に、仕事頼まれたの」

「は?」
真幌の雰囲気が黒く落ちた。

「あ…あのね……久我先輩のお母さん?が、急病らしいの。
それで、代わりに資料を仕上げてほしいって言われて……」
真幌の雰囲気に、ビクッと身体を震わせ言う。

「そうなんだ。
じゃあ、俺も手伝います。
二人でやったほうが、早く終わるし」
「うん、ありがとう!」

真幌のおかげで、あっという間に終わらせる事ができた神楽。
二人は、会社を出た。


「神楽、今日は何食べようか?」

半同棲をしている、二人。

最近の二人は、仕事終わりに買い物へ行き、真幌の家で二人で夕食を作り食べ、神楽はだいたい泊まって帰るのだ。


「うーん。
もう遅いし、軽いものがいいな…!
リゾットみたいなやつとかは?」
「じゃあ…トマトがたくさんあるし、トマトリゾットは?」
「うん!いいね!
そうしよう!」

真幌の家で一緒に調理し、遅い夕食をとる二人。

日に日に、神楽の私物が真幌の家に増えていく。

「んー!美味しい~!」
「フフ…
ほんと、食べること好きなんだなぁ!」
「うん!好きだよ!」

「俺の事は?」

「え?」
「俺の事は、好き?」

「好き…だよ…/////」
顔が真っ赤になり、呟くようになる神楽。

「フフ…可愛い~」
そんな神楽の頬を軽くつまむ、真幌。

「うー、絶対からかってるでしょ?」
「だって、すぐ顔赤くするんだもん!
可愛くて、苛めたくなる!」
「酷いなぁー(笑)
恥ずかしくて、心臓バクバクなんだからね?(笑)」

「フフ…
━━━━━━でも~」
「ん?」

「これからもっと恥ずかしいことするのに、心臓もつ?」

「え?////」
「………」
頬杖をついて意味深に微笑む、真幌。

「だ、大丈夫だよ?/////」

「いつも、このまま心臓止まんじゃないかってくらい、心臓バクバクしてるもんね(笑)」

「うん…/////
真幌は、恥ずかしくないの?」

「恥ずかしいってのは、ないかな?
毎回、激しく求めすぎて神楽を壊さないか心配はしてるけど(笑)
神楽のこと、好きすぎて歯止めがきかないんだ……!」

真幌はうっとりとして、神楽を見つめていた。
< 11 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop