黒幌に呑み込まれる
そんなある日。
神楽が作業をしていると……
「麦倉さん」
「え?あ、岸野さん?
どうしたんですか?」
同僚の岸野が、声をかけてきた。
神楽と同期の男性社員だ。
「久しぶりに話すね!」
「あ、はい」
新入社員の時は、よく話していた二人。
久しぶりに、声をかけられていた。
「麦倉さん、綺麗になったね!
最近の俺達の話題、そればっかだよ?」
「え?そ、そうなんですか?/////」
神楽は男性相手だと、緊張で顔が赤くなる。
その為、あまり男性と関わることを避けて過ごしていた。
そんな中岸野は、同期というのもありよく神楽に声をかけていたのだ。
真幌相手にあんなに声をかけることができたのは、真幌の方がおどおどしていて、しかも前髪を伸ばしていた為、目を合わせることがなかったから。
岸野とは“普通に”話すことができていたのに、去年岸野が異動になってから話すことがなくなった為、久しぶりに声をかけられてまた緊張がぶり返していた。
「また、赤くなってる(笑)」
「あ、ごめんなさい…////」
「別に謝ることじゃないよ?
久しぶりだしね!」
「あ、はい…
あの、今日はどうしてここに?」
「あー、資料を届けにね!
そしたら、麦倉さんを見かけたから」
「そうだったんですね」
「━━━━先輩!!」
「え?あ、黒部くん」
「何してるんですか?
早く、書類持っていかないと!」
「あ、うん!ごめん、つい…」
パタパタと去っていく、神楽。
それを見送り、真幌は岸野を見据えた。
「麦倉先輩に、何の用ですか?」
鋭い視線を向ける、真幌。
「同期なんだ。
去年まで、よく話してたから懐かしくてね!」
真幌の恐ろしい雰囲気に動じることなく答える、岸野。
「必要以上に、俺の女に声をかけるな」
「は?
お前が、噂の彼氏?」
「だったら?」
「へぇー!最近、綺麗になった麦倉さんが彼氏ができたらしいって噂が流れててさ!
どんな奴だろうなって話してたんだ!
あ、大丈夫!
だからどうって訳じゃないし!」
「だったらいいが、気安く話しかけるなよ?
殺意が湧くから」
「殺意って…(笑)
おっ、怖っ(笑)」
岸野が苦笑いをしていると………
「岸野くん?
岸野くんじゃない!
久しぶりね!」
「ゲッ…久我先輩……
━━━━━あ、久しぶりですね」
嫌そうに呟き、愛想笑いを浮かべる。
「あ、もうすぐお昼だし、ランチどう?」
「あ、いや!俺、先約があるんで!」
そう言って、そそくさと逃げるように去っていったのだった。
神楽が作業をしていると……
「麦倉さん」
「え?あ、岸野さん?
どうしたんですか?」
同僚の岸野が、声をかけてきた。
神楽と同期の男性社員だ。
「久しぶりに話すね!」
「あ、はい」
新入社員の時は、よく話していた二人。
久しぶりに、声をかけられていた。
「麦倉さん、綺麗になったね!
最近の俺達の話題、そればっかだよ?」
「え?そ、そうなんですか?/////」
神楽は男性相手だと、緊張で顔が赤くなる。
その為、あまり男性と関わることを避けて過ごしていた。
そんな中岸野は、同期というのもありよく神楽に声をかけていたのだ。
真幌相手にあんなに声をかけることができたのは、真幌の方がおどおどしていて、しかも前髪を伸ばしていた為、目を合わせることがなかったから。
岸野とは“普通に”話すことができていたのに、去年岸野が異動になってから話すことがなくなった為、久しぶりに声をかけられてまた緊張がぶり返していた。
「また、赤くなってる(笑)」
「あ、ごめんなさい…////」
「別に謝ることじゃないよ?
久しぶりだしね!」
「あ、はい…
あの、今日はどうしてここに?」
「あー、資料を届けにね!
そしたら、麦倉さんを見かけたから」
「そうだったんですね」
「━━━━先輩!!」
「え?あ、黒部くん」
「何してるんですか?
早く、書類持っていかないと!」
「あ、うん!ごめん、つい…」
パタパタと去っていく、神楽。
それを見送り、真幌は岸野を見据えた。
「麦倉先輩に、何の用ですか?」
鋭い視線を向ける、真幌。
「同期なんだ。
去年まで、よく話してたから懐かしくてね!」
真幌の恐ろしい雰囲気に動じることなく答える、岸野。
「必要以上に、俺の女に声をかけるな」
「は?
お前が、噂の彼氏?」
「だったら?」
「へぇー!最近、綺麗になった麦倉さんが彼氏ができたらしいって噂が流れててさ!
どんな奴だろうなって話してたんだ!
あ、大丈夫!
だからどうって訳じゃないし!」
「だったらいいが、気安く話しかけるなよ?
殺意が湧くから」
「殺意って…(笑)
おっ、怖っ(笑)」
岸野が苦笑いをしていると………
「岸野くん?
岸野くんじゃない!
久しぶりね!」
「ゲッ…久我先輩……
━━━━━あ、久しぶりですね」
嫌そうに呟き、愛想笑いを浮かべる。
「あ、もうすぐお昼だし、ランチどう?」
「あ、いや!俺、先約があるんで!」
そう言って、そそくさと逃げるように去っていったのだった。