黒幌に呑み込まれる
「んんっ!真幌…なんか、激し…/////」

その日、いつものように真幌の自宅に行った神楽。
家に入るなり、真幌にベッドに連れていかれ狂おしい程に抱かれていた。

「ごめんね。
今俺、嫉妬中なんだ……!
だから、もっと抱かせて?」

「嫉妬…って……誰に?」

最近の神楽は、黙々と仕事をしていて真幌以外とは仕事こと以外ほとんど話さない。
唯一仲良くしていた美乃とも、あのランチの一件からほとんど話さなくなった。

なので、嫉妬しようにもそんな相手がいない。


「今日、同期の奴と話してたでしょ?」

「あ、でも私達は、そんなこと何も………」

「は?
私達って何?
そんなことって何?
俺の嫉妬心を煽らないで?」
時々感じる“あの”黒い雰囲気に染まる、真幌。

「真幌…お願……もう…」

「ダメだよ。
ねぇ…俺を見て?
俺だけを見てよ?
見つめ合って、果ててしまおうよ?」

「真幌…」
「うん、ほら!視線、そらさないで?
好きだよ、神楽。
絶対、放さねぇから………!」

「……っ…私も…好きぃ…」

真幌の目には、何か力があるのだろうか?

神楽は真幌の目を見ていると、酔ったように離せなくなり、心がグッと奪われていくのだ。


ぐっすり眠ってしまった神楽に、軽くキスをしてベッドを下りた真幌。

窓際に立ち、煙草を咥えた。

火をつけ、スマホを操作する。

『真幌様。
虎雄(とらお)が、至急会いたいと言ってます。
折り返し、連絡をください』

理苑からのメッセージだ。
真幌はため息をついて、理苑に電話をかけた。

『あ、真幌様。
すみません、お取り込み中に…』
「で?会いたいってなんだよ」

『虎雄の縄張りで最近半グレ集団が彷徨いてるとかで……』
「力を貸せってこと?」

『早い話が、そうゆうことです』
「わかった、今から行く。
車を回して」

真幌は一度シャワーを浴び、もう一度神楽にキスをして家を出た。


ある場所で車で待機していると、後部座席が開いて虎雄が乗り込んできた。

「真幌さん、すんません!」
「別にー
お前には、世話になってるし」
「半グレ連中、手におえなくて……
真幌さんに一度出てきてもらえると、収まると思うんです」

「わかった。
じゃあ、今から━━━━━━」
そこまで言うと、突然真幌のスマホの着信が鳴り響いた。

「あ、神楽だ!」

「あ、彼女さんですね!
真幌さん、また後日で大丈夫っすよ!」

虎雄の言葉で、真幌は家に戻ったのだった。
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