黒幌に呑み込まれる
「そっか…あのおばさん、とんだ勘違いだな……!」
先程の事を真幌に話す、神楽。
真幌は、呆れたように呟いた。

「え?お、おばさん…!?」
思わず顔を上げる。

「うん。俺から見れば、おばさんだよ」
「そ、そうかな?」

「………てか!あのおばさん、ほんと邪魔だな」

「え……」

“あの”黒い雰囲気に包まれる、真幌。
神楽は、ゆっくり真幌から離れ後ずさった。

「ん?
神楽、どうした?」
「え……う、ううん…」

「ほら、おいで?
もう一回、ギュってしよ?」
両手を広げて微笑んでいる、真幌。

神楽は、少し怯えがちにその腕の中に収まったのだった。



「━━━━━神楽、今日はちょっと予定が入ったんだ。
あ、でも!家まで送るからね!」

そんなある日の、久しぶりの別々の夜━━━━━━

自宅で、ゆっくり夕食を食べた神楽。
ゴロゴロしていた。


「暇だ……」
いや…やらなきゃいけないことは、沢山ある。
久しぶりに自宅にいるので、掃除でもしようかと思うがやる気が起きない。

ひたすらゴロゴロ・だらだら過ごし、いつの間にか眠っていた。

目を覚ましスマホを確認すると、23:24を表示していた。

「え!?もうこんな時間!?
どんだけ寝てたの、私(笑)」
自嘲気味に笑う。

そして片付けを済ませて、ソファに座る。

「………プリン、食べたい…」
無性に、コンビニのプリンが食べたくなり呟く神楽。
もう日付も変わり、スマホの時計は0:08を表示していた。

しかし、一度食べたいと思ってしまうと諦めきれないもの。

「よし!行くか!」
神楽は、簡単に着替えて自宅を出たのだった。



「━━━━━な、なんか…怖いな……」
普段、夜中に外に出ることなんてない神楽。

早くも、外に出たことに後悔していた。

「と、とにかく急いで買って帰ろ!」
急ぎ足でコンビニに向かう。

しかし、目当てのプリンは売り切れていた。

「嘘ー!
………帰ろ…」
とぼとぼとコンビニを出た。

そして今度はゆっくり帰っていると、途中の公園から人が飛び出てきた。

「……っ…び、びっくりした…」
「た、助け…く…れ………!!」

公園から出てきた男性。
神楽にすがりつき、懇願してきた。

「え?え?ど、どうしたんですか!?
━━━━━━━!!!!?」

神楽は、男性の顔を見て思わず退いた。
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